芸術の秋「日展」に行く

2014-11-23 (日)
- 或る日常の風景

職場の先生の作品が「日展」に入選したと聞き、国立新美術館に都心の散歩がてら見に行ってきた。

「日展」とは日本美術展覧会のことで、明治40年に始まった文部省美術展覧会(文展)から107年続く由緒ある展覧会。
現在は「日本画」「洋画」「彫刻」「美術工芸」「書」の五部門。

そんな日本最高峰の展覧会に入選するんだから、その先生の実力は押して計るべしというか……そんな偉大な先生と毎日顔を合わせて 「おはようございまーす」と言葉を交わし、「今度の合唱祭の警備のことなんですけど~」など普通に話をしていることに不思議さを感じる。

そして生徒たちはそんな偉大な先生に普段授業をしてもらっていることをわかっているのだろうか?
いや、きっと知らないだろう。入選することを自慢するような先生じゃないし。

学校という世界は、ほんと不思議でよくわからない。

その先生に「日展見に行きたい」と言ったら、特別入場券をくれた。
これで入場料1,200円が無料。

日展のチケット fig.日展のチケット。"特別入場券"の文字が眩しい

ただこの特別入場券も無料というわけではない。先生が自腹で購入して用意してくれたものらしい。なんだか申し訳ない。
万難を排して行かなければ。

午前中は家でのんびり過ごして昼前に出発。
東京駅で100周年記念スタンプを押してから六本木へ向かった。

六本木ヒルズ fig.六本木といえばこのビル

六本木といえば六本木ヒルズ。六本木ヒルズといえばホリエモン。六本木ヒルズといえば成金。最上階でギャル囲ってハーレム……などという 短絡思考しか持ち合わせていなかったが、いつの間にか"東京ミッドタウン"なる複合施設も完成。

東京ミッドタウン fig.東京ミッドタウン。六本木すげーー…。

目的の国立新美術館は東京ミッドタウンから5分ほど歩いたところにあった。

国立新美術館 fig.国立新美術館に到着。

美術館らしく建物もただのビルじゃなく曲線美にあふれている。設計 黒川紀章。
……というか人多すぎ。

いくら日曜日だからと言っても、美術館になど足運ぶやつはいないだろうと高を括っていたが、 日本人ってこんなに美術好きだっけ!?というほど人が多い。
……ブルジョワが多いのか!

改組新 日展 fig.今年は再出発の日展

今年から日展は「 改組新 第1回 日展」として再出発することになった。

国立新美術館 fig.中も人で溢れている

日展も結構な人だったが、それ以上に同時開催のチューリヒ美術館展のチケット売場に人が並んでいた。

日展 fig.いよいよ突入
日展 fig.こんな感じで展示してあります

日展に出品する絵画は、みんなキャンバスが超巨大。
人の背丈ほどある高さと両手を広げるぐらいある幅のキャンバスいっぱいに絵が描かれている。
まずこんな巨大キャンバスを用意するのも大変だし、絵を完成させるのも膨大な困難があると思う。 そしてさらに"入選"となるともうね。
この作者たちは普段どうやって暮らしているんだろうと思ってしまう。みんな教員ではあるまいに。

美術のことは正直よくわからないが、よくわからないなりにも見て回ると「ふぅん…」と素通りしてしまう作品、 思わず立ち止まってグッと心に響く作品。好みによって様々。
ピカソやモネ、ルノワールといった超有名な画家の作品だと無条件に「この絵がわからんヤツはバカだ」と強制されている気がして萎える のだが、日展に入選する作家は無名な人も多い(というか誰も知らない)。
そのため素直に"自分の気持ち"で絵を見ることができる。そこが良いと思う。

そんな自分的グッときた作品。

成田禎介「アルプの高原
風景画は個人的に旅に行っているようで好みなんです。この細かさに感動しました。近くで見るとなんてことない 絵の具がベタベタ塗ってあるだけなのに、遠くから見るとこの調和。すげーー。
本山二郎「光の方へ
美少女なのがツボ。と、いうよりも髪の毛一本一本まで細かく描かれていて、どうやったらこんなに描けるんだ。
能島和明「東北の地よ(花皆折れた日)
全体的に暗いタッチは東北の震災を表しているのか。闇の中に立つ観音様は人々の苦しみを一身に背負っているように思える。 花が描かれているのにちっとも華やかではない。でも暗闇の中で折れた花が唯一の希望を表しているように思える。
北斗一守「光芒・蜘蛛の糸より
芥川龍之介「蜘蛛の糸」は好きな話なのですが、都会の喧騒の中で もがき苦しみ這い上がるために一本の蜘蛛の糸にすがるように手を伸ばす。 でもきっとこの後、蜘蛛の糸は切れちゃうんだろうなぁと色々想像してしまう。
田中 武「今宵、山芋を眺める女、すりおろす女、食す女
山芋はアレで、すりおろした山芋はアレの例えですよね。絵画にモザイクって斬新じゃね?と思うもののモザイクかける場所 が違うだろ!と思わず突っ込みを入れたくなってしまう。親子連れで来ていた親が微妙な表情をしていたぞ。

作者の一人に"ジュディ・オング倩玉"という人がいて「ふざけた芸名だ!」と思っていたら、本当にジュディ・オングその人だった。

そんな歴史ある公募展「日展」なのですが、今年は「改組新 日展」として再出発。
知っている人は知っているのですが日展には強力なヒエラルキーがあり、昨年「書」の篆刻部門で審査の不正が発覚したばかり。 しかもそれが数十年に渡って公然の秘密として行われていたというから驚きだ。

公募展と称していながら有力会派に属していなければ事実上入選は不可能。
しかも入選するためには審査員の先生方に事前指導と称して袖の下を贈っているという。
そうなると当然、不正は篆刻だけじゃねぇだろう!!と思ってしまうのが人間の心情で。

今回入選したウチの先生は袖の下を贈る人間には思えない(現に去年の篆刻の不正をボロクソに批判していた)のでガチ勝負で入選したのだと思うのだが……。
歴史ある"日展"の名を汚さないように生まれ変わって欲しいものです。

展示作品の中にはこんなの(/images/snap/2014/diary_20141023_009.jpg)もあり、いやいやいや…いくらなんでも…など穿った見方をしてしまう。
ま、芸術のことはよくわかりませんが( ̄Д ̄;;

5部門全部見ていたら、さすがに目が疲れた。

国立新美術館 fig.3階まで巨大な吹き抜けになっている
東京ミッドタウンのイルミネーション fig.もう世間はクリスマスか…けっ

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