第1回 Linuxで自宅サーバのススメ
サーバ構築に必要なモノ
前フリが長くなりましたが、自宅サーバーを作るのに必要なものを以下に並べてみます。
- PC
- パソコンのことです。別に最新のマシンでなくても問題ありません。みなさんの家にありませんか?昔はWindows95とか98がサクサク動いていたのに今では粗大ゴミ扱い・・・もとい、押し入れに眠っているマシンが。でもさすがにPC-9801じゃ厳しいかも・・・えっ?PC-9801って何ですか?
- OS
- オペレーティングシステムの略。やはり一番有名なのはWindowsでしょうか。あとMacとか。でも今回はLinuxというのを使います。ちなみにLinuxは日本だと"リナックス"という呼び方が一般的です。
- インターネット環境
- サーバを作るのだからやはりインターネットに接続できないとお話になりません。最低ADSLは欲しいところです。ダイヤルアップだとあまりの遅さに泣きを見るかも。えっ?このサイトが見られるのだからネットには繋がっているって?そりゃそうですよね。
- 英語を読む忍耐力
- いくら日本語化が進んでいるとはいえ肝心なところはやっぱり英語。でも大丈夫。文学作品みたいな難しい英語ではありません(でも英語を見ると頭痛が......)。文法知らなくても単語だけ拾い読みしていればなんとなく判ります。
- 情熱
- これが一番大切だと思っています。判らないことやトラブルに遭遇したらまずgoogleとか検索エンジンで調べる。たいてい答えはネットで見つかります。あと試行錯誤してみるとか。とにかく面倒臭がらないことが大事です。
いかがでしょう。なんだかこれぐらいだったら何とかなりそうな気がしてきませんか?サーバの構築なんて気張らなくたってなんとかなりますって。気楽に行きましょう、気楽に。
ディストリビューションを選ぶ
ディストリビューションって何?
Linuxといえば必ずセットで耳にするのが「ディストリビューション」という単語。そもそもLinuxというのは、最低限の基本的な仕事しかしないソフトのことを言います。たくさんのソフトが円滑に動くように仲を取り持ったりとか、あるソフトが死んでも他のソフトも一緒に心中しないように管理したり、あるいは各ソフトがプリンタなどの外部機器を使えるようにしたりとか。
こういう基本的な仕事をするソフトウェアのことをカーネルと言います。
Webサーバなどのソフト(Windowsで言えば、電卓とかペイントとか)はこのカーネルを土台にして動作するわけです。Linuxは本来カーネル部分しかないので、ユーザは使いたいソフトを自分で組み込まなければなりません。Linuxにマニアックなまでに詳しい人や組み込むことに喜びを感じる人間はそれでも構わないのですが、大多数のユーザは筆者同様そんな敷居の高いことは出来ませんし、もっと簡単に使えたらと考えることでしょう。
そこで各企業やボランティア団体などが、カーネルに各ソフトを組み込んでインストールしやすくしたものを提供してくれるようになりました。
これをディストリビューションと言います。
それこそディストリビューションは有名なものから超マイナーなものまで、全世界で100以上存在します。ディストリビューションについての情報を集めたサイトDistroWatch.comを見ればかなりの数のディストリビューションが存在することがわかります。
Linuxをインストールするということは、つまりディストリビューションを選ぶということでもあるのです。
有名どころのディストリビューション
前にも述べましたが、現在様々な団体や企業がディストリビューションを提供しています。どのディストリビューションもユーザーが使いやすいよう様々な工夫を凝らしていて、どれも捨てがたい特徴があります。どのディストリビューションを選ぶのかはLinuxを使う上で結構重要で、しかも頭の痛い問題でもあります。生命保険を選ぶようなものでしょうか。
ディストリビューションを選択する前に、有名なディストリビューションにはどんなものがあるのか見てみましょう(えっ、これって有名なの?( ´,_ゝ`)プッ 。というツッコミはなしの方向で)。
ちなみに各ディストリビューションに関するコメントは筆者が独断と偏見でつけたものです(間違い等ありましたら平にご容赦頂くと共にご指摘頂ければ幸いです)。
ロゴ | ディストリビューション | 独断と偏見によるコメント | スペック |
---|---|---|---|
Red Hat(Enterprise)Linux | 天下のRedHatが提供するディストリビューション。良くも悪くもデファクトスタンダード(業界標準)。「赤帽」という言葉を見かけたら運送屋かコレ。Windowsにも負けない洗練されたインストール環境でユーザの支持を集めるが、無料版の廃止で多くの赤帽難民が生まれた。全世界導入率No.1の実力は伊達じゃない。 | ||
Fedora Core | Red Hat Linuxの無料版・・・と言えば聞こえが良いが、Fedoraでユーザにテストをさせてその成果をRed Hat Linuxに取り入れて売っているのが実情か。常に最新を追い求めるのがポリシー。ゆえにバージョンアップは激速。そして最新を追い求めるがゆえに不安定という噂も。ユーザも多く情報量はピカイチ。本屋のLinux本はたいていコレ関連。 | ||
Vine Linux | ユーザに優しく安定した環境がコンセプトのディストリビューション。日本語化の対応はピカイチでユーザも多く情報量も豊富。本屋にいけばVine関連の本も多い。しかし安定を求めるがゆえに最新ソフトの採用には少々消極的。無料版の他にも商用フォントとサポートを付けた有料版もある。 | ||
Turbolinux | 昔から日本語環境への対応と、インストールの簡単さをモットーに開発された商用ディストリビューション。最新のLinuxであるカーネル2.6の導入にいち早く取り組むなど、新しいソフトの導入にも積極的。その使いやすさから日本では根強い人気を誇る。しかし開発元の会社がホリエモンに身売り。そこが唯一の不安要素か。 | ||
Momonga Linux | かつて日本人ユーザを中心に支持を集めていた「Kondara MNU/Linux」の開発母体Kondaraプロジェクトが突然の解散。そのKondaraの遺伝子を受け継いだディストリビューション。Kondara時代に数多くのパッチやソフトウェアが開発され、コミュニティへの貢献は計り知れない。プロジェクトが再び空中分解しなれば、これから注目のディストリビューション。 | ||
Miracle Linux | インストール直後からデータベースソフトの雄、Oracleが使えるように設定され、またカーネルもOracleが最適に動作するようチューンナップされているまさにOracleのための商用ディストリビューション。現在はアジア圏で統一的なLinux開発を行うプロジェクトAsianuxの一翼として新境地を模索中。 | ||
Gentoo Linux | 人気急上昇中の新進ディストリビューション。設定のチューンナップにより最速仕様も可能。ソフトも比較的新しいものを採用し、しかも無料。最大の弱点はインストールに時間がかかりすぎることか。古いマシンではインストールだけで丸2日かかることも。しかし一度インストールしてしまえば、優れた管理システムで最強仕様。最速のLinuxを求めたいあなたにオススメのディストリビューション。 | ||
Debian GNU/Linux | Debianプロジェクトというボランティア団体が開発するディストリビューション。全世界でかなりの開発者を擁する。インストールが難しくマニア向けという悪評だったが、3年ぶりにリリースされた最新版でそれも払拭か?しかしボランティア団体ゆえの宿命か、バージョンアップが激遅でソフトが陳腐化するのが難点。一方優れた管理ツールで多くの支持を得るものの、2ちゃんねるではDebianを絶賛すると「deb厨」と叩かれる。 | ||
KNOPPIX | Debianをベースにハードディスクにインストールしなくても、CDから起動できるディストリビューション。CDから自動でX-Window(Windowsみたいな操作画面)まで起動して、アプリケーションが使えてしまうところが凄い。「ちょっとlinuxを試してみたい」「このマシンでlinuxって動くの?」そんなユーザにもオススメ。既にlinuxを使用しているユーザならシステムがぶっ壊れた時にデータ救出用として重宝する。 | ||
Linspire | かつては"Lindows"という名前で一世を風靡したディストリビューション。「Windowsに取って代わる!」と日本ではホリエモンが大々的にキャンペーンを打っていたのが印象的。デスクトップ環境に定評がありClick-N-Runというシステムによりわずか数クリックでソフトがインストールできることが魅力だったものの、サポート料金と中途半端な日本語対応で非難轟々。結局、契約が切れたことを理由にライブドアは日本語版の販売を打ち切り。「Windowsに取って代わる!」という野望はいつ実現するのか。 | ||
SUSE LINUX | ヨーロッパで絶大な人気を誇るディストリビューション。かつては有料版しかなかったが、最近は無料版も登場し気軽に使える存在に。独自の管理ツールや優れた設定ツールで使いやすさには定評あり。これがヨーロッパ導入率第1位、全世界導入率第2位の実力なのか。しかし日本での導入率は"?"なところが唯一の難点。しかし注目株であることは間違いない。 | ||
Slackware Linux | 数あるディストリビューションの中で最古の歴史を誇る。シンプルな構成が特徴で、自分で全部管理してLinuxを俺様色に染めたい猛者に最適。しかしシンプルな構成ゆえにソフトのインストールで阿鼻叫喚。そんなマゾヒズムについていけない初心者には敷居が高いのが難点。その困難を乗り越えたとき真のLinuxマスターとなっていることは間違いない。 | ||
Plamo Linux | Slackwareをベースに極力シンプルな環境とLinuxの持つボビー性を大切にすることをモットーに開発された日本人のためのディストリビューション。Linuxの中では公式にPC-9801への対応を謳っていたが、Plamo Linux 4.xシリーズになってサポートはバッサリ切られた(´・ω・`)ショボーン。かつてプラモデルで遊んだようにLinuxで遊んでみたい。そんなあなたのためのディストリビューション。 |