第1回 98エミュレータ(T98-NEXT)を動かす

補足 1.ファイルが大きくてFDに入りません

1.ファイルがフロッピーディスクの容量を超えてしまいました!

これまで一通りT98-NEXTの動かし方を紹介してきました。ここからは補足編です。本編ではページの都合上カットしたり、説明するのが面倒臭かったのですっ飛ばしてきたところを紹介していこうと思います。

今回はフロッピーディスクイメージが大きい場合にどうするかです。

PC98の実機で「ちょっとプロテクトが掛かっているっぽいな~」というコーエーのゲームなどのフロッピーディスクのイメージを作成(PartIII T98-NEXTの使い方(後編))したとき、 とか実機のハードディスクにインストール済みのゲームなどのファイルをエミュレータで動かしたいとき……など、など(←なんかゲームの話ばっか……)

どうして実機のハードディスクに置いてある1.44MByte(=フロッピーディスク1枚分の容量)を超えてしまうファイルをWindowsのハードディスクに持ってきたいことはよくあります。

実機上でLHAなどの圧縮ソフトを使って圧縮してフロッピーディスクに収まれば御の字。
ファイルを圧縮しても超えてしまったら……その時はファイル分割ソフトを使って大きなファイルをフロッピー1枚に収まるように分割してWindows側に持ってくるのが簡単です。

2.PC98で使える分割ソフト

するとファイル分割ソフトはどれを使えばよいのだ。という話になります。

ファイル分割ソフトはVectorや窓の杜などかなりの数がフリーソフトで使用できます。
しかしこの世はWindows全盛の時代。そもそもアイコンをダブルクリックしてウィンドウが表示されるようなソフトは残念ながらPC98上では動きません。

ファイル分割ソフト
fig 1.31 グラフィカルなソフトは使うことができない

そこで当研究室ではPC-98実機で動くファイル分割ソフトとしてBSPLITをご紹介します。

3.ファイル分割ソフトBSPLITを使う

BSPLITはDOS上で動作するファイル分割、結合ソフトです。BSPLITはVectorからダウンロードできるフリーソフトです。(vector)

まずVectorからBSPLITをダウンロードします。ファイル名はbsplit04.lzh(2007/12/29現在)です。
ダウンロードしたファイルを適当なフォルダに解凍します。ここではC:\98Emuフォルダの下にbsplit04というフォルダを作成し、その中に解凍します。 解凍するといくつかファイルができますが、その中でBSPLIT.EXEという名前のファイルを使います。

BSPLIT
fig 1.32 BSPLIT.EXEを使う

解凍してできたBSPLIT.EXEファイルをフロッピーディスクでPC98実機の方にもっていきます。ちなみにBSPLIT.EXEは27KB程度の小さなファイルですので、ラクラクとフロッピーディスクに収まります。

PC98実機ではどこのディレクトリに置いても良いのですが、ここでは実機ハードディスク上のa:\toolディレクトリの下に置くことにします。

実機にBSPLIT.EXEをコピーしたら、いよいよファイル分割を行います。

まずは次のコマンドを入力してBSPLIT.EXEファイルのあるディレクトリに移動します。
(注:">"は入力する必要はありません)

>a:
>cd \tool

1行目:Aドライブに移動
2行目:toolディレクトリに移動

toolディレクトリに移動したら、以下のコマンドを入力してファイル分割を行います。
BSPLITにはたくさんオプション(より詳細な命令)が用意されていますが、とりあえず"/a"と"/1M"だけ知っていれば十分です。

このコマンドの例ではtoolディレクトリにある「SAMPLE.DAT」という名前のファイルを分割します。

>bsplit /a /1M a:\tool\sample.dat
コマンドの説明
bsplitコマンド名
/aオプション:/aは自己結合ファイルを作成するオプション
/1M分割サイズ:1Mは1MB単位に分割する
a:\tool\sample.dat分割したいファイル名のフルパス

実行中は何も表示されませんが、再びプロンプト(">"のこと)が表示されればファイル分割は終了です。 この例では「SAMPLE」という名前のファイルを分割したので、BSPLIT.EXEのあるディレクトリ(ここではa:\toolディレクトリ)にSAMPLE.EXE、SAMPLE.000、SAMPLE.001……という分割ファイルが新しく作られています。

ちなみにここでサンプルとして使用したSAMPLE.DATファイルは約4.4MBありましたので、分割してできたファイルはSAMPLE.EXE、SAMPLE.000、SAMPLE.001、SAMPLE.002、SAMPLE.003、SAMPLE.004、SAMPLE.005の5ファイルです。

SAMPLE.000などの分割ファイルは1MB単位に分割されていますので、フロッピーディスクで容易に運ぶことが出来ます。

このSAMPLE.EXE、SAMPLE.000、SAMPLE.001……などのファイルをフロッピーでWindows側の適当なフォルダにコピーします。
ここではC:\98Emu\bsplit04フォルダにコピーすることにします。フォルダは適当で構いませんが、分割ファイルを全て同じフォルダに置かなければなりません。

bsplit分割ファイル
fig 1.33 分割ファイルをWindows側に持ってきたところ

全てWindows側に持ってきたら、最後は分割ファイルを結合します。結合するにはbsplit.exeは必要ありません。

持ってきた分割ファイルの中に拡張子が「.EXE」のファイルがあった(ここではSAMPLE.EXE)と思いますが、そのEXEファイルをダブルクリックします。

すると分割ファイルが結合され「SAMPLE.DAT」というファイルができるはずです。

結合結果
fig 1.34 結合できましたか?

あとはDiskExplorerでT98-NEXTのハードディスクイメージファイルにコピーすればおっけー。(PartIV T98-NEXTの遊び方参照)
多少時間はかかりますが、この方法が確実だと思います。