他にも「今年は戦いますよ」と言っていた後輩N地君やY田君も「言うべきことは言いま
したよ」と言っていたので、少なくとも5人以上は「残業代出せよ、出せよ」の大合唱を
繰り広げたことになる。
しかし自分の前日に評価面接をした後輩のY嬢はこんなものじゃなかったらしい。
これまでの鬱憤を洗いざらい全部ぶちまけた挙げ句に3%アップというショボイ昇給額を
聞いて、
Y嬢「じゃぁ(会社を)辞めます!!」
突然の退職宣言。
確かに昨年のY嬢は、たび重なる機能追加により自分でつくったプログラムですら把握で
きなくなり、目に涙を浮かべながら事情を説明する場面に何度か立ち会った。
そんなこんなで精神的にかなり追いつめられているようだったから退職宣言も無理もない。
部課長は相当慌てたらしい。
「まぁ待て。今は大変だからあれだけど仕事が落ち着いてからじっくり考えても遅くは
ない」
説得が長引き、面接時間1時間30分。
残業手当が出ない代わりに業績が良ければ年度末賞与を出すという話にも
「そんな貰えるかどうかわからないものでは頑張れません!」
と言い放った。
Y嬢やるなぁ・・・ま、正論なのですが。
(以上、Y嬢談)
本人としては仕事をヤル気が全くないので、"退職か残留か"ではなく"いつ辞めるか"とい
う心づもりのようだが。
「会社を辞めるって言ってから慌てて引き留めるようじゃ遅いですよ。社員が辞めないよ
うにこれまで何かやってきたか?ってことですよ」
いつになく強気なY嬢。
ま、これも正論だがな。
このY嬢の退職宣言はたちまちのうちに波及した。
いつもY嬢と一緒に昼食を取っている我々5人は彼女からこの話を聞いて以来、動揺を隠
せなかった。
その後2,3日は「なぜ会社の利益が上がらないのか」「なぜ仕事が忙しいのに残業代が
出せないのか」「他の会社はどうなのか」「今後、自分の身の振り方について」という議
題に対して昼食の間中ずっと話し合っていた。
まさに「鹿ヶ谷の陰謀」状態(時代が違うけど)
Y嬢以外の4人はさすがに会社を辞めるとまではいかないまでも、このままではいけない
という思いを強くしているように感じた(私は毎年、合格すれば速攻で辞める気満々)。
ところが。
今日は部署は違うが後輩のS田君が評価面接。
いつもの通りのメンバで昼食を食べているとS田君が心底ガッカリしたような様子で口を
開いた。
「今日面接だったんですけど、残業代くれっていったらダメだって断られました」
「H課長は"まぁまぁ良くやってくれている"って言ってたんですけど、それは前半は仕事
がヒマだったから売り上げが低かったってことと、後半仕事があって売り上げがよかった
ってことで"まぁまぁ"ってことらしいんです。」
話を聞けば確かに訳のわからん評価。
そもそも仕事があるかないかなんて、営業や上の人間の仕事であって、その結果が一般社
員への評価に繋がるのは明らかにおかしい。
「よし!俺も転職活動だ!」
と、S田君。
「えっ?マジで転職考えてるの?」
驚いたのが、S田君の直接の先輩にあたるM山さん。
「ええ・・・結構、真剣に考えていますよ」
「そうかぁ・・・・」
ただでさえ人が少ないM山さんとS田君の部署は、貴重な戦力であるS田君が抜けたらあ
っという間に崩壊。おそらくM山さんはそのことを心配したのだろう。
「俺も転職活動ですかねぇ・・・会社にはもう"頑張らない"って言いましたし」
これは長期休養から最近復帰したH内君。
H内君の評価面接は「給料は下がることはない」というなんとも微妙な結果。
下がることはないってことは上がることもないってことか?
というかH内君を長期休養に追いやった人間の責任は誰が取るんだ。
こうして、
今年度は激動の一年を感じさせる幕開けとなったのだった。
社員40人の弊社で4人辞めたら1割減か。会社オワタ\(^o^)/
新人サン入ったことだし、私の代わりなんていくらでもいますよ、大丈夫、大丈夫。