明日使えるかもしれないネタ集です。というか教育問題を考える上で"ネタ"とか言っているようでは終わっている……。
切羽詰まってるな、自分。。
まず"いじめは絶対に許さない"という教育者側の共通認識が大前提としての絶対条件。 「いじめられる生徒も悪い……」などと思っているようでは、解決は遠のくばかりです。
意識
- いかなる場合でも、いじめ被害者の生徒を全面的に守る。
- いじめ問題は1人の教員だけで対応できないので、必ず関係主任と連携し、管理職にも報告し、組織的に対応する。 被害生徒とその家族は、学校の組織的対応を知るだけである程度安心する。
被害生徒への対応
- いじめ被害生徒がなんらかの問題(生徒指導上、あるいは精神的問題)を抱えている場合でも、 被害生徒の訴えに耳を傾け誠実に対応する。
- 被害生徒のいじめの訴えが被害妄想的であっても、被害生徒の訴えをまず誠実に聴き対応することで、 被害生徒本人や家族とのトラブルを避けられる。
- その他、被害生徒がいじめに繋がりやすい要因(弱点)を持っていることがあるが、それを理由にいじめ指導を躊躇することがあってはならない。
- 加害生徒からの仕返しや報復を恐れて教員に相談しない場合が多いので、被害生徒を仕返しや報道から絶対守り抜くと言うことを教員集団として決意し、日頃から生徒達に伝えておく。
- 被害生徒を安心させるため、教員の連絡先を伝え、いつでもどこでも仕返しや報復から守り抜く決意を伝える。
- 被害生徒が、事態の悪化や報復を恐れ加害生徒への直接の指導を嫌がる場合、他の方法(偶然通りかかったフリをして指導する。教育相談など……)を考え、速やかに実行する。
加害生徒への対応
- 加害生徒への指導は、仕返しまで予測して注意し、教員側が断固として被害生徒を守り抜く決意を加害側にも示す。
- 加害生徒も何らかの心理的問題を抱えていることがあるので、毅然とした指導の後、教員の役割分担の中で言い分も聞き、フォローしていく。
「いじめに関する事例取り組み集」より
特に参考になりそうな(自分のアンテナに引っかかった)事例集をいくつか。
最初は女帝A子にファビョルB子母、自己中B子と問題山積の事例ではありますが……。 教師が生徒間に直接介入するというより、むしろ"生徒に寄り添う"という指導が根本にあると感じます。しかし母親までフォローしなくてはならないとは………学校とはなんだろう?
相談室を活用したチーム支援体制の推進(中学校)
(状況まとめ)
A子(リーダー的存在)を中心とした女子グループに無視されているB子。B子も新しい友人ができると前の友人に冷たくあしらうなど狭い人間関係しか築けない。 B子の母親は過干渉・過度の感情移入があり、いじめ加害生徒宅へ押しかけるなど複雑化させる要因。
その後A子のグループから抜けたいという生徒C子も相談に。その後7名の生徒がA子からいじめられていたことが判明した。(取組まとめ)
B子
- 相談室に複数の教師に来てもらい毎時間5分程度本人と過ごし、平行して複数の人間との関わりを持つことが大切であることを経験させる。
- 生徒の心の中にある(1)したいこと(2)できるようになりたいこと(3)できたらいいな。を整理。取り組む優先順位を明らかにして少しずつ課題を克服する方法で学校生活に参加。
A子
- リーダーシップがあることを肯定的に思っていることを担任、顧問から本人に伝え、活動の責任者にするなどエネルギーを良い方向にむけるかかわりをした。
C子、その他いじめられている生徒
- 被害生徒と関係ある職員が、個別に関わり(1)実態の把握(2)苦しい思いの聞き取り(3)今後の方向を一緒に考える。教育相談的な役割を分担
B子の母親
- スクールカウンセラーが面接を重ね気分の安定を図ると共に、B子への接し方を理解してもらった。
いじめに関する事例取り組み集
次はいじめの予防例。日頃の「心を育てる」取り組みが大切であることを示しています。根本思想は「いじめは加害者も被害者も"自分は必要とされている"と感じれば起きない」。良いこと言ってます。
子供とのふれあいをつねに確保する取組(中学校)
- 学校の空き教室を利用して「ふれ合いの場」
- 子供と「生活記録ノート」を毎日交換する
- 全校で朝読書を行い、「心を育てる」
- いじめの早期発見のためのプロジェクトチームを編成する。
- 総合的な学習の時間を活用し、子供の居場所づくりを進める。
「いじめに関する事例取り組み集」より
次の事例もいじめ防止への取り組み。生徒情報ファイルなどはデータベースで管理して、イントラネット(※1)で共有できれば面白いと思います。
(※1)イントラネット……企業内など閉じた空間におけるネットワークのこと。
根本思想に「全職員が534人の担任」があり、生徒と教師が信頼関係を作ることで、思春期ゆえに自分がいじめられていることを人に話すことに大きな抵抗がある生徒の情報を収集して、 問題の早期発見を行うことが可能となっています。
「心のメモ」や「生徒情報ファイル」を通した生徒と教師の絆づくり(中学校)
- 「こころのメモ」(内省ノート)の実施(毎日)
- 「生活アンケートの実施」(年1~3回)
- 「心の健康チェック」の実施(毎月末)
- 「生徒情報ファイルの作成」
「いじめに関する事例取り組み集」より
この事例は集団のルールを守る意識と実践を行うことで、いじめ根絶に取り組んだ例。状況だけみると八方塞がりのような気がしますが……。 やはりどの事例にも共通して言えることですが、何事も基本が大切ということかもしれません。
……しかし自分の中学校時代を振り返っても、こんなクラスメイト一人はいたわ。悪気はないんだけど、ついついいじめたくな……
集団ルールを守る意識と実践の定着を図った事例(中学校)
(状況まとめ)
清掃時にその生徒の机を運びたがらない。給食時や授業等でのグループ活動の歳、机を離したがる。授業等でそのこと発言の際、何人かの生徒が嫌な咳払いがやりとりされる。(いじめを受けていた生徒)
中学1年女子。元気が良く奉仕的な生徒。「先生、○さんは~してました」など悪気なく何でも思ったことは口にした。 ぽっちゃり体型。運動は苦手。(いじめる側の生徒)
同じクラスの女子A子、B子を中心とした6名のグループ。ただクラス全体がその子を避ける雰囲気にあった。
A子
男女関係なく気に入らないことがあると罵ったり反抗的なところがある。仕事は手際よく、よく働く。
B子
学力・運動能力に優れ何でも出来る子だが、冷たく突き放すような言動が見られた。陰で悪口を言ったり、噂話を広げたりしていた。 クラスの雰囲気
特に男子に落ち着きがない。生活のルールがなかなか定着しなかった。(対応)
・いじめを受けた生徒
気付いた段階で教育相談。以降、些細なことでもすぐ言ってくるように伝え、訴えがある度に「いつ、どこで、だれに、どのような状況に、何をされたか」を不安と怒りを吐き出させながら聞き取りを続けた。
・いじめた側の生徒
訴えの都度、時間をおかず、その日の内に名前の挙がった生徒を一人ずつ呼んで事実確認し、「その子に何かされた仕返しなのか」を確認。つまり相手に何ら非がないのに行っているいじめ行為であることを認識させ、自ら謝罪の意識を引き出した。
A子は相手を思いやることは難しかった。B子は自分に非があるとはなかなか認めなかった。
・一般生徒に対して
第3者の関わりがいじめを助長していることに気付かせるロールプレイの授業を作り、実施し、感想を毎日の学級通信に一人ずつ載せ、2ヶ月間取り上げ続けた。同時に「授業べからず集8条」というルールを作り、グループ毎に日々評価させ定着を図った。(A子、B子へのさらなる対応)
A子にはその都度言って聞かせたが、A子自身の抱える問題が大きく、まずは担任との関係づくりを第一に対応。 意図的に仕事を与え具体的にほめる。日々の日記のやりとりを入念にした。
B子は理解力がある子なので知的に訴えることにした。内容は間接的に「陰口・噂話は卑怯だ。醜い行為だ」を機会があるごとに意図的に繰り返した。 また授業の中で意図的に指名するなどして生かし、部活動の顧問とも相談しながら前向きに力を出せるよう働きかけた。いじめに関する事例取り組み集
どの事例も(良い点、悪い点含めて)生徒の特長の分析が出来ていて、その特長に沿った指導が効果を発揮していることが共通していることのかな、と考えています。
しかし自分に関係ないことだと良い点悪い点含めてよく見えますが、自分のこと、あるいは自分のクラスのことになると冷静に分析することは難しいのではないかと。 だから担任一人で抱え込まないで職員全体で取り組んで分析、対応にあたることが大切ではないでしょうか。
………このネタは明日使えるかな?
- 【参考リンク】
- いじめ問題に関する取組事例集-国立教育政策研究所
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