まったく世の中には色々な商売を考える人がいるものです。
メイド喫茶に始まり、メイドマッサージ、耳かき店、魔法学園をコンセプトにした飲食店……アキハバラマスターであるY地氏が、秋葉原にとある店があることを教えてくれた。
その店の名は鉄道居酒屋「Little TGV」。
鉄道をコンセプトにした居酒屋らしいのです。メイド、魔法学園の次は鉄道ですか。
……そのうち"コンバット居酒屋"でも出来るんじゃねぇのか。
今や鉄道も萌えの時代
それはさておき。
早い話がコスプレ居酒屋らしい。鉄オタだけでなく鉄子ももてはやされる昨今。鉄道各社ですら萌え系マスコット(※1)を投入してイメージアップに努めている時代。
(※1)萌え系マスコット……たとえば小田急ならばコレ(ITmedia記事)とか。
かわいい制服を着た女性車掌や女性乗務員が接待してくれる店があったとしてもおかしくはありません。
試乗したY地氏によれば、料理がNゲージ(※2)に乗せられて貨物輸送される……というほどのコンセプトがあるわけでもないらしい。
(※2)Nゲージ……鉄道模型の規格の一つ。ハマって大金をつぎ込んでしまう人が多い、悪魔のおもちゃ。
しかし車掌や乗務員の知識がマニアックの域とのこと。
自称鉄道ファンでないY地氏は、度重なる車内放送に見事撃沈。
で、あるならば。
こちらは天下のJR様を車両基地から呼び寄せてリベンジです。
これほど最強の助っ人は他に見あたらない。
しかしJR様はごく普通の一般人なので、コスプレ居酒屋に来てくれるかどうか微妙なところだったのですが、どうやら興味津々のご様子。
かくして集まったY地氏、ヨコヤマ氏、JR様、私の4人は、リベンジするために鉄道居酒屋「Little TGV」に足を踏み入れたのでした。
鉄道居酒屋 Little TGV
……実は自分だけ1時間ほど遅刻。
他の3人が宴もたけなわになったころの参入でした。
あらかじめY地氏から店の噂を仕入れていた自分としては、いたって一般人であるJR様がブチ切れてあまりの店の素晴らしさに帰ったりしないだろうかと心配していた。
ところがJR様から届いたメールには、たった一行。
車掌さんがブチ切れぎみです(笑)
……どうやらお楽しみ頂いている様子。
そんなことよりもマニアックと言われている車掌をどれだけフルボッコにしたのかと想像し、JR様のあまりの非情さに背筋に冷たいものが走ったのだった。
店内は"鉄道"居酒屋と銘打ってあるだけあって、壁一面に鉄道写真やらプレートがところ狭しと飾られていました。店内で流されているDVDは当然鉄道のパノラマ映像。
鉄道ファンおなじみのNゲージはあるにはありましたが、店の隅で埃を被っている様子(※3)。
(※3)埃を被っている様子……正確には1両だけ模型が走っていました。
芸が細かい
遅れて席に着くと、車掌がさっそく切符を切りにやってきた。
例えではなく本当に切符に鋏を入れに来た。実はこの切符が500円もする。一般的な居酒屋で言えば、これがお通し(※4)。
(※4)お通し……もちろん鉄道居酒屋にも別にお通しはでます。ちなみに居酒屋で出されるお通しは拒否できるって知ってました?
まずはドリンクを注文しろと店員が言うので、メニューに目を落とす。
小田急9000系(カルピス)
名鉄パノラマカー(コーラ)
西武101系(パイナップル)
近鉄アーバンライナー(グレープフルーツ)
なかなかコンセプトは面白い……って車体カラーと飲み物の色が似ているだけやんか!
毎日通勤に使っていることもあったので、とりあえず小田急線(カルピス)を注文。
続いて食事のメニューにも視線を這わせた。
事前にY地氏から「食事はまったく期待するな」などと、くどいほど聞かされていたので、あらかじめ耐性は出来ていたものの……まぁ、おっしゃる通りか。
首都近郊線を模したメニューは面白いと思う。
車内……もとい、店内にはその道の方々が結構いるらしく、盛んに鉄道用語が飛び交っていました。
車掌……じゃなかった、店員も雰囲気を出すために若干の鉄道用語を例えで使ったりします。
たとえば、「食器を片づける」=「回送する」とか。
店の空気を読めずひきつった笑いを浮かべている間にも、Y地氏は巧みな鉄道用語(の例え)を駆使して車掌と会話しています。聞いていれば、まぁ次から次へと出るわ出るわ。
……本当はY地氏ってテツなんじゃないの?
自分も
「僕と連結しない?」
渾身のセリフが思い浮かんだものの、口に出すのは憚られた。
ところが中の人は全員が全員その道に通じているかと言うとそうでもありません。……鉄子はただでさえ稀少種のため、店員に雇うのは相当厳しいかと。
我々の相手をしてくれた車掌は特に一般人らしく、「食器を片づける」=「お下げします」とごく普通の接客になぜかJR様は大喜び。その店員から根ほり葉ほり聞きまくっていました。
JR様の底力
さっきから最強の助っ人という触れ込みで投入したJR様がまったく活躍しとらんじゃないか、とお叱りを受けそうですが、マニアックな車掌が乗車していなかったので実力を誇示することはできませんでした。
しかし仲間内では十分に底力を発揮。
店内には電車前方展望風景のDVD映像が流れていることは、前述した通り。もちろん映像がダラダラ流れているだけなので、我々一般人が見れば、どの路線かわからないただの風景。
ところがJR様。DVDを見ながら「次は○○駅だ(←どこの駅名だったかも覚えてない)」と予言。
映像は鉄橋を渡ったり団地を横目に通り過ぎたりと、目まぐるしく変わるものの、どの路線かすら判らず。ましてや次はどの駅なのか知りようもない。
そんなこともあり、我々のテーブルだけなぜか全員でDVD映像を食い入るようにガン見。
端から見れば、我々はどれだけ好きなのだろうかと本気で思われたに違いない。
もちろん結果は……JR様、見事正解。
恐るべし、JR様。
マニアックな車掌が本日乗車していれば……ゴジラvsキングギドラ級の世紀の大決戦が見られたかもしれなかったのに。返す返すも残念。
超豪華特典
秋葉原にあるソレ系の喫茶店やマッサージ店の多くが実施されているように、鉄道居酒屋「Little TGV」にも用意されております。リターン客狙いのポイントカードが。
笑ってしまうほどの超豪華特典のラインナップはこちら。
- ポイントカード1枚……女性車掌(店員)と2ショット写真
- ポイントカード2枚……オリジナルアップリケプレゼント
- ポイントカード20枚……女性車掌(店員)と2人で旅行
最終特典のハードルがぶっ飛んでいるほど高いのですが……それだけ特典内容もぶっ飛んでいます。ラストは人身売買が黙認されています。
ちなみにポイントカード1枚あたり20,000円ほど店に投資しなければならないので、各特典を享受するには
- ポイントカード1枚……20,000円投資
- ポイントカード2枚……40,000円投資
- ポイントカード20枚……400,000円投資
……という計算になります。簡単な算数ですね。
20,000円投資してたった写真1枚かよ!とあまりのインフレに辟易するかもしれませんが、それはそれ。ちなみにオリジナルアップリケはレジにて1,000円で販売していました。
まぁしかし400,000円投資すれば、写真などではなく生身の人間を好きなようにできるわけです。触るのも舐めるのも突っ込むのも……。
ところがよく見ると注意書きが。
- 旅行は日帰りとなります。
- 旅費は車掌の分も含めてお客様負担となります。
400,000円投資した上に旅行は日帰りで旅費(2人分)は自腹。
ふざけるなーーーー!
思わずちゃぶ台をひっくり返したくなるぐらい。ここまで見事な殿様っぷりな特典を見たことはない。
今回はたまたまマニアックな知識をもった車掌がいなかっただけかもしれませんが、腕に覚えがある方は対決に行ってみてはどうでしょう。
- 【参考リンク】
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