「ドスランポスの次はイノシシの化け物を討伐じゃ」
狩り場である【密林】には、前回討伐した【ドスランポス】の他にも【ドスファンゴ】(※1)という名前のイノシシの化け物がいるらしいのです。
(※1)ドスファンゴ……巨大イノシシ。偶蹄目 ファンゴ科。獲物を見つけると一直線に突進してくる。まさに猪そのもの。
ジャンボ村の村長からイノシシ狩りの依頼を受けて、もうお馴染みとなった【密林】へ。
このイノシシの化け物【ドスファンゴ】も密林中を徘徊しているらしい。 今回は化け物が通ると思われる場所に【携帯シビレ罠】を仕掛けて、しびれて動けなくなった猪に一挙に襲いかかり、勝負を決める作戦に出ることにした。
洞窟の中に他のモンスターがいない場所があったので、そこの入り口に【携帯シビレ罠】を仕掛け、後はじっと息を殺してヤツが来るのを待つ。
ブーン、ブーン……。
他のモンスターがいないのは良いのですが、その代わり周囲を虫(←これが結構でかい)がブンブン飛び回って五月蠅いことこの上ない。 しかもこの虫は隙あらば巨大な針で蜂のように容赦なく刺してきやがります。 その都度、剣を振るって追い払おうとすると、ヒョイと上空へ飛び去ってしまうのだから始末が悪い。 さらにはこの虫、麻痺の毒を持っているらしく刺され所が悪いと体が硬直してしまい、ピクピクと無様な姿をさらけ出すという醜態。
さっきから全身刺されまくり。刺されるたびに体力が削られます。
「ええい。うっとしい!」
削られる体力と反比例するようにフラストレーションが溜まります。【ドスファンゴ】と対決の前に虫退治に奔走。蚊取り線香って売ってないのだろうか……。
そうこうするうちに遠くの方からドッドッドッドッ……と小刻みな足音が聞こえてきました。周囲を見渡すと巨大なイノシシがゆっくりと歩いてきます。 さすがイノシシの親玉と目されるだけあります。結構でかい……。
「さぁ来い!バケモノめっ!」
ギロリ……。
【ドスファンゴ】はこちらの姿を見つけると、血走った目で鼻息を荒くして2、3回足で地面を蹴り出す。次の瞬間……。
こちら目がけて突進。しかし目の前には【携帯シビレ罠】が設置してあった。
ビリビリと体中の電気が走ったかと思うと【ドスファンゴ】はひっくり返り足をもがき始めた。
「ばかめ……」
チャンスとばかりに一気に躍り込み斬りつける。しかし議長、見て下さい。この一方的な攻撃(※2)
(※2)しかし議長、見て下さい。この一方的な攻撃……国会審議中に折り紙を折っていた議員の名言。
斬りつけてもイノシシの化け物は咆吼をあげて、もがくばかり。飛び散る血しぶき。これで勝負はついたかに思えた。
調子に乗って斬りつけている間に【携帯シビレ罠】の効果が切れたのか、イノシシがむくりと起きあがった。そして次の瞬間。ヤツは驚異的なスピードで突進してきた。
はやっ。
イノシシの突進を避けられない。まともに攻撃をくらい、一気に吹っ飛ぶ。なんとも驚異的な力。そのまま地面に叩きつけられた。 普通の人間なら即死するような状況でしたが、さすがは訓練を積んだハンター。重傷で済みました。
慌てて起きあがろうとすると、巨大イノシシの顔が目の前に。得意の牙でトドメを刺そうというのだろうか。とっさに体をよじりイノシシの突進を避ける。
が、さすがはイノシシの長【ドスファンゴ】。突進がかわされたと見るや巨大な体を急旋回させ、再びこちら目がけて突進。その攻撃、全く容赦なし。
どれぐらい死闘を繰り広げたでしょうか。イノシシの突進を避けきれず、何度まともにくらって吹っ飛ばされたことか。 こちらもボロボロになりながら、ほんの少しの隙をついてヤツに剣を振るう。
どうやらヤツへのダメージの方が勝っていたようだ。瀕死の状態になったのか背を向けて一目散に逃げ出した。必死に追いかけながら斬撃を加え続ける。やがて……。
ヤツはその場に倒れ込んだ。【ドスランポス】に引き続き【ドスファンゴ】も討伐に成功。しかしまだまだ戦いは始まったばかりだ。
「今夜はイノシシ鍋ぞ!向かうところ敵なしじゃ!」
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