12月5日までに東京都教育委員会に提出しなければならない膨大な書類。
前回に引き続き、あちらこちらと回ってきました。
書類その5:履歴カード(具申書添付用)
これは採用時に提出でよい書類なのだが、説明会に行ったときにもらった封筒の中にはどうひっくり返しても入っていない。 本採用が決まるまでしらばっくれるのもアレなので東京都教育庁まで受け取りに行くことにした。
最初は新宿駅で電話してから行こうと考えていたのだが、携帯電話というものはどうも耳にフィットしなくて苦手だ。
耳から受話器が外れてしまい途中で音声が聞こえなくなることが多々ある。
特にこのような慣れていない場所に電話するときには、ただでさえ聞き取りづらくなることを警戒してしまう上に周囲が喧噪だとますます聞き取りづらくなる。
そこで、どこか静かな場所は……と捜している間に結局都庁に着いてしまった。
都庁1階ロビーで都庁内にある教育庁に電話。まずは話の展開をシミュレーションする。
まずは自分の名を名乗って……しかしここで、中高共通 理科で今年度の採用名簿に登載された受験番号460……のって、ああああ、なんてまどろっこしい。こういう名簿に載っただけの中途半端な状態の問い合わせが一番困る。
縁もなにもない店や役所に問い合わせ → 名乗らない。
顧客やお得意様 → 社名 + 名前。
そして要領を得ない話をするなど一歩対応を誤ると、不適当と判断されて採用で不利になるかもしれぬ。考えすぎだと思うけど。しかしそう考えるとますます緊張してしまうのだ。
ウジウジ悩んでいても仕方ない。メモ用紙を取り出し電話で話す内容を軽く書き出してみる。そして一息ついて電話。
「案ずるより産むが易し」
こういうのは実際やってみると意外とあっさり行くもの。事情を説明すると都庁に取りに来るか、取りに来るのが難しければ郵送するとのこと。
いま都庁にいるのでこれから取りに行くという旨を伝える。
実は一度教育庁がどんなところか見てみたいという好奇心もあった。
都庁第二庁舎27階。
エレベータを下りて案内図を頼りに真っ直ぐ教育庁に向かう。廊下を曲がったところで立ちつくしてしまった。
私はどうやら教育庁を町役場か何かだと勘違いしていた。静かで落ち着いた空間。広々とした待合室。受付カウンターがあって、そこで話をすると担当者が出て処理してくれる……いつの間にかそんな空間を想像していた。
ところが実際は空間こそ広かったものの、騒々しくけたたましく電話が鳴り響く中で机と書類が密集していた。その中で職員が忙しいそうに動き回っていた。
入口には電話機が置いてあり「ご用の方はこちらでお話下さい」。その横には担当課と番号がビッシリ書かれた一覧が置いてあった。
(……ええと、どうすればいいんだ)
あまりの騒々しさに呆然。入口で立ちつくしていても別に誰が助けてくれるわけでもない。こんなに人がいるのに。
人事部選考課の番号を押して担当者が出るのを待つ。特に何も考えていなかったため担当者が出た瞬間頭の中が真っ白になった。とりあえず先ほど電話をして履歴カードを受け取りに来たという旨を伝えた。
「担当者はどなたですか?」
「すみません。お名前まではお伺いしておりませんで………」
町役場みたいなものだと思っていたので名前まで聞いていなかったのだ。すったもんだはあったものの無事書類を受け取った。
ミッション完了。
書類その6:大学の卒業証明書
前の会社に在職証明書を受取るついでに、ひさびさに母校の事務室へ立ち寄った。
実は大学の事務室にはあまり良い記憶がない。受付は実に態度が悪く、あやふやなこと言おうものなら「出直して来い」ぐらいの勢いだった。
それがどうしたことか。
受付にいた若いお姉ちゃんに卒業証明書を指定の用紙に書いてもらうにはどうすれば良いか、と聞けば懇切丁寧に教えてくれるではないか。
「まず申請用紙発行機で申請用紙を取得して頂いて……」
「申請用紙発行……なんですか?それ」
「今年から自動化されたんですよ。うふふ……」
話し方が"ぽややん"とした感じの事務のお姉ちゃんは、優香みたいな笑い方をした。……激しく萌えるのだが。
そして、わざわざカウンターから出て来て申請用紙自動発行機の前まで案内してくれるという大サービス。
事務室の外のロビーには銀行ATMを思わせる自動発行機が鎮座していた。
事務のお姉ちゃんは自動発行機まで案内してくれるだけでなく全ての画面操作をやってくれたのだ。なんというVIP待遇。これが卒業生の特権なのか。
(しかし自動発行機なのに事務員に操作してもらったのでは自動の意味がないよな……)
この状況に思わず苦笑いしてしまった。
この自動発行機。画面操作まではタッチパネルでスイスイ進むのだが用紙の発行が異様に遅い。用紙が発行されるまで事務のお姉ちゃんと2人で立ちつくす。
10秒……20秒……。耐え難い沈黙が周囲の空間を占めた。
1分ほどしてようやく申請用紙が装置から吐き出された。申請用紙に名前など記入して再び窓口に提出。
ソファーに座ってぼんやり待っていた。
待ちながら在学中とあまりの対応の変貌に心底驚いていた。卒業生だけに丁寧なのかと思いきやどうもそうでもないらしい。
もしかしたら「ママー、事務室の対応が悪いよー」「ママが文句を言ってあげます」「ウチの子が精神的に傷ついたザマス!キ-----ッ!!」このような苦情が舞い込んでから改善されたのか。
……そんなことはないと信じたい(※1)。
(※1)信じたい……そう言えば、学生呼び出しの掲示が○○○○"さん"になっていた。在学中は"君"付けだったような。
20分ほど待って年配の女性事務員が卒業証明書を持ってきてくれた。
もしかしたらあの"ぽややん事務員"だけが事務室のヴィーナスなのかもしれない。ところがその年配の女性事務員も証明書を封筒に入れながらカウンターの外にまで出てきて、世間話などという在学中であれば天地がひっくり返りそうな荒技までやってのけた。
どこの県なのか、中学か高校なのか、教科は何か、最近の学校が荒れていると聞くけど頑張って下さい……などなど。
いったい何がどうなってしまったんだ。
狐か狸に化かされた不思議な気持ちで大学を後にした。
書類その7:在職証明書
今の方はishii社長に書いてもらうから良いとして、困ったのは前の会社の方。
大企業なら電話一本かけて総務に依頼して、後は郵送して終了。という手順を踏むと思うものの、社員40人に満たない小さな会社。社員全員顔見知りのため、果たしてこういう場合はどうしたものかと困りあぐねた。
気恥ずかしさもあり「まぁ、ここは総務に電話だけして後は郵送で……」などすっかり怖じ気づいてしまっていたのだが、ishii社長から「お世話になったのだから手土産もって挨拶に行け」との有り難いアドバイスに背中を押され、手土産もって挨拶へ行くことになった。
ここで悩むのは手土産だろう。
前の会社では旅行や帰省するたびにお土産を買ってくるという慣例があり、その時"えびクッキー"なるお土産を購入したら大絶賛大不評だった前科あり(→冒険心あふれる土産参照)。
観光地でもある地元小田原の銘菓ならば外れもないだろうと考えた。
やはり小田原といえば"ういろう(外郎)"だろう。最近ではすっかり名古屋ういろうの猛攻に埋没してしまった感はあるものの、"ういろう"は小田原発祥なのだ。試験に出るから覚えておくように。
しかし"ういろう"って一口サイズでは切り売りされていない模様。いちいち包丁で切って食べるのでは会社への手土産としては不適当。そこで第二候補 栄町松坂屋「コケッコー」を購入。食べログでは、何やらボロクソに叩かれているようだが気にしない!
結果的にはishii社長のアドバイスにしたがって挨拶に行って良かった。やっぱり社長の方が正しかったよ、ありがとう。
金曜日にアポを取って今日(月曜)に行ったのだが、恐ろしいことに教員採用試験の話はほぼ全社員に話が伝わっていた(※2)。
(※2)話が伝わっていた……総務の人にしかしゃべっていなかったのに。恐るべし噂パワー。
IT業界(笑)から教員の世界へ-。
思いっきり畑違いの業界への転身は驚くべきことのような気がするのだが、会社では意外に反応が薄かった。
というのも、1週間ほど前に3年後輩の元社員が神奈川県の高校に初挑戦・初勝利という快挙を達成して在職証明書を取りに来たばかりだったのだ。いわば自分は二番煎じというわけ。
まぁ、世の中こんなものか。
ある課長には「ウチの会社は(教員を2人も輩出なんて)何屋なんだ」と言われ、違う課長には「で、モンペとはいつやり合うの?」。先輩には「教え子には手を出すなよ!」。
なんともありがたい激励の言葉を頂戴した。
小一時間程度のつもりだったものの、なにぶん社員全員と話して回ったものだから3時間ほどかかってしまった。仕事の邪魔して申し訳ない。
多くの方から祝辞や激励の言葉を頂き、天敵エフ先輩からは訳のわからないことを言われ、懐かしい時間を過ごすことができた。ある意味自分の中で区切りをつけることが出来たと思う。
これで貰える書類は全て貰った。 あとは自分が記入するだけだ。
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