ダンスグループEXILEが取り組んでいる、東日本大震災復興支援プロジェクトで"Rising Sun Project"というのがある。
被災地の中学生と一緒にRising Sunを踊ろうという取り組み。
そのRising Sun Projectに出場した中学生の関係者の1人だったので、東京国体の閉会式を観に行ってきた。
国体の開閉会式は事前の申し込みに当選した人間しか入れない。
この入場券は1人1人に発行されているもの。ずいぶん厳重じゃないか。
16時すぎに京王線飛田給駅に着くように新宿駅を出たのだが……
普段は見向きもされない弱小駅なのに、この日は特急も準特急をはじめすべての電車が臨時停車。
京王線の全面バックアップつきなのである。
競技をどこでおこなっていたのか全く知らなかったが、どうやら一大行事のようである。
飛田給駅に到着すると、人と警備員で溢れかえっていた。
この人がみんな会場である味の素スタジアムに向かうのである。そしてみんなが首からぶら下げる入場券を持っているのであろうか。
もう金のかけ方が違う。
味の素スタジアムのゲートは、厳戒態勢であった。
事前の案内に「ペットボトルの持ち込みは禁止(紙コップに移し替えて入場)」と書いてあったが、紙コップに移し替えるなんて
面倒なことをしていられるかと、リュックの小さいポケットに隠したつもりだったが、手荷物検査で真っ先に開けられて密輸の企てはもろくも崩れ去った。
しかも一度警備員の前で試飲して見せてから紙コップに移し替えるという念の入れよう。
さらには金属探知機のゲートまでくぐらされた。
……空港より厳しいんじゃないか。
味の素スタジアムには大勢の観客と選手がいた。
夕暮れが迫り、閉会式への雰囲気も高まりつつあった。
ちなみに式典などはフィールドの反対側、つまり一番奥側で行われるため、
小さすぎて肉眼ではサッパリ見えぬ。ちなみに写真中央に小さく見える白い箱が来賓があいさつする演台。
その上の「がんばろう!日本」の横断幕の下側あたりにある木みたいのが主賓席。
そのままだと訳がわからないので、左右の巨大ビジョンに映し出され、リアルタイムで字幕まで表示されるという親切設計。
いよいよ閉会式が始まった。
主賓に高円宮妃殿下を迎え、猪瀬東京都知事のあいさつ。
……と、いっても肉眼では、はるか遠くて見えないため巨大ビジョンを見るわけだ。 ミーハーっぽく写真など撮ってしまったが、これじゃぁテレビで見るのと同じである。
式典はつつがなく流れていき閉会式は終了。
プロモーションビデオが流れスペシャルステージのEXILEが登場した。
その瞬間……!
「きゃあああああぁぁああぁ!!」
なんだ、なんだ!?
突然前やら後に座っていた女性集団が大声を上げて立ち始めたではないか。
散々アナウンスで席を立つなと言われていたにも関わらずお構いなしだ。傍若無人すぎる。
これだけでも十分にふざけんな状態だが、それにも増して腹が立ったのが流れたアナウンスだ。
「スペシャルステージでの写真・動画撮影、音声の録音はご遠慮ください」
はぁ!?ふざけんなよ。
こっちはヒゲ面のむさいオッサングループに興味はないが、その後に踊る子どもの活躍を見に来たんだよ。
写真撮るなとはどういうことだ。引率を何だと思っていやがるんだ。
ここからはEXILEのライブ状態。
前や後で傍若無人に立ってキャーキャー言っている女集団はよくわからん星型の光るライトやら団扇を持って踊っているし、
正直もうどうでもいい。
ただオッサングループは"ダンスユニット"と呼ばれるだけあって実によく踊る。そこだけは感心した。そこだけだが。
やつらは2曲歌って踊った後… EXILE「…心に響くステージでしたが、最後の曲になりました」
ついにきたかっ!Rising Sun!!
身構えていると、
EXILE「……プライド」
は?( ゚д゚)
また歌って踊りだした。
期待させておいて違うのかよ。
そんなこんなで3曲披露してEXILEは退場。
再び数人が登場。ここからがRising Sun本番だ。
この日、この瞬間のために一生懸命練習した中学生たちが大勢登場した。
"Rising Sun Project"がどういうものか。
EXILEがいかに関わってきたか。(しょうがないとは言え)EXILEの宣伝のようなプロモーションビデオが流れる。
数時間前のリハーサルのときは元気だった中学生も、さすがに本番を目前にして緊張して元気がないようだ。司会が懸命に元気付ける。
そして、ついに始まった。
そしてさっきまでキャーキャー喚いていたEXILEファンの女集団たちは……Rising Sunにまったく興味なし。
座り込みやがった。
後の方で赤いTシャツを着て大勢踊っているのが中学生たち。
ダンスを披露したのはたった4分弱。アンコールもなし。
閉会式は1時間20分ぐらい。彼らはその間ずっと控え通路で待ち続けていた。
そして何よりも彼らはこの4分間のために夏休みから2ヶ月間、練習を重ねてきた。
一生懸命踊った。始まるまで踊れるか心配したが踊りきった。
巨大ビジョンに映し出された中学生の表情はやりきった感に満ち溢れていた。よい表情だった。素晴らしかった。
こうしてRising Sunは終わった。
たった4分間だけだったけど。EXILEの宣伝みたいな使われ方だったけど。
2万人ぐらいの観客が見守っている中でダンスを披露したことは、人生の中でかけがえのない経験だったことは間違いない。
よかった。実によかった。
そしてもう一つ分かったこと……EXILEファンにはロクなのがいないってことだ。
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