残念ながら私のことではない。
前会社を退職した日は会社の誰もかまってくれなかったので、高校時代からの友人S本氏に退職とこれからの新天地での活躍を祝ってもらった。
実はその時、前会社から持ってきた荷物を彼の家に預けっぱなしだったのだ。退職してから1ヶ月半。彼とゆっくり会う機会がなかったので荷物はそのまま放置状態。 「1ヶ月以上も預かりっぱなしって、保管するってレベルじゃねーぞ!」と彼は思ったかもしれない。申し訳ないことをした。
受け取りが伸び伸びになった理由は他にもあった。……その荷物にはどうでもいいものしか入ってなかったからだ。
- 社内で使用していたボロボロのスリッパ
- テニス部で使用していたボロボロの運動靴
- 健康保険組合からもらった薬
- マグカップ
- プログラミングの参考書
- ワイド版「風の谷のナウシカ」全7巻(←これだけは重要)
このスリッパと運動靴が本当にボロボロで………というのはここではどうでもいい話。
彼は遠路はるばる我が家まで車で来てくれて「はい、これ預かっていた荷物。じゃ、またねー」と風のように立ち去ってしまった。 わざわざ届けてくれただけでも十分有り難かったのだが、彼が立ち去った後で何気なく荷物を確認したとき何かの違和感を感じた。
それは預けた荷物の一つ、マグカップだった。彼は荷物を返すとき何も言わなかったがマグカップが埃を被らないようにビニールで丁寧に包まれていたのだ。
残念ながら自分がこんなことをするはずがない。と、すれば彼しかいない。
これだけでも彼の気遣いに十分感謝すべきだろうが、さらにマグカップはビニールで包装された上にご丁寧にも綺麗に洗ってくれてあった。
自分の恥を晒すようでなんだが所有物に関してかなり無頓着な方で、それが汚れようがあまり気にならない性格。 なので綺麗に洗ってあると逆の意味でよく目立った。
……なるほど。"気遣いができる"とはこういうことを言うものなのか、とひどく感銘を受けた。自分には百年かかってもここまで思いつかないかもしれない。 彼の気遣いに感謝すると共に自分を深く反省した。
ありがとう。感謝です。
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