裏・新年会ともいうべきロック(座)の旅の後編。まさかこんな目に合わされるとは夢にも思わなかった。
寂れた地方の映画館よろしくロビーの扉を開けると、そこは魅惑の世界。 薄暗い室内にショボイ椅子が並べられている。中央には円形のステージ(←回転する!)があり、舞台袖と円形のステージを利用して女性が踊ります。 天井には昭和時代のディスコ(※1)を思わせるミラーボールが回転し暗闇の中で光が踊る。
(※1)昭和時代のディスコ……行ったことないけど。
中央の回転式ステージとミラーボール以外の設備はかなりショボイ。高校時代に文化祭の出し物として教室でやった演劇を連想させる。
今どきこんなの誰も見に来ないだろう、と思いきや館内は意外にも大盛況。立ち見も出るほどだ。 が、もっとも館内自体かなり狭く40人も入れば座席は全て埋まってしまう。 ちなみに座席は全て自由席。中央の円形ステージを取り囲むようにして置いてある椅子(10席程度)に座れば、一番よく見える(←何が?)。 我々が入ったときには当然のことながら全て埋まっていた。
客層は様々だった。一番目についたのが40代のサラリーマンか無職を思わせる客。中には60~70代を思わせるような爺さんも。昔からのファンなのだろうか。 かと思えば20代後半に見える若い客もそこそこいた。ちなみに全員男性。当たり前といえば当たり前ですが。
ショーの流れはこんな感じ。 踊り子さん一人あたりの持ち時間はおよそ30分。
最初の5分は衣装を着たまま曲に合わせて踊る。衣装は竜宮城の乙姫さまを連想させる鮮やかな着物やらサンタクロース(のような)服やら様々。 次の5~10分で衣装を脱ぎながら踊る。
それが終わったら写真撮影会(?) 店側が用意したポラロイドカメラで1枚500円~1,000円(踊り子さんによって値段が異なる)でお願いした好きなポーズで撮影できる。 普通に記念写真をとる客もいれば、エロ写真家よろしく踊り子さんにあられもないポーズを注文する客もいる。
最後の5分程度はほぼ全裸状態で踊る。音楽に合わせてサービスも満天。 最初見たときはさすがに衝撃を受けた。……もっともすぐに見慣れてしまいましたが。 これで次の踊り子さんに交代。あとは閉店時間まで以下ローテーション。
ショー全体を一言でまとめればあまりに退廃的だ。
踊り子さんが登場する寸前の暗い館内。 「次は○○さんのショーをお楽しみ下さい。ステージ登場の際には盛大な拍手でお迎え下さい」 店員がマイクで言うのだが、この声がいかにもヤル気がなくボソボソと何をしゃべっているの判らない。
そして館内は40人程度。全員期待に満ちた表情で踊り子さんの登場を待っているかというとそうでもない。 中には飲んだくれて眠り込んでいる乞食のようなジジイとかもいて、踊り子さんが登場しても拍手はパラパラとまばらなのが悲しい。
この澱んだ空気が退廃さに拍車をかけていた。
しかし退廃的な空気とは裏腹に、踊りを披露する踊り子さんは真剣そのもの。 練習を重ねたと思われるキビキビした踊りとその真剣な表情に圧倒され、エロティックというよりも一種の芸術鑑賞をしている感覚に囚われた。
……これ、別に脱ぐ必要ないんじゃね?
彼女たちがポリシーを持って踊っていることは十分に伝わった。
ところが、この"エロくない"ことがY中さんとS.シンジのご両名にはたいそう不満だったようだ。 3人目の娘の踊りが終わった時点で、もう飽き飽きしていたご様子。
そして、2人揃って「ちょっとお手洗い……」と中座したきり帰ってこなくなった。 不安に思ったDr.ミズノが2人の姿を捜しに出ていった。 それからのDr.ミズノの表情は固かった。
「……やられた。やつらの姿がどこにも見えない」
どうやらあまりの不満さにY中さんとS.シンジは我々をおいて夜の歌舞伎町に姿をくらませてしまったらしい。 そしてDr.ミズノの携帯電話にS.シンジからメールが。
"今日は気持ち悪くなったので帰ります"
「そんなことあるわけねぇ。例え気持ち悪くなったとしても、どうしてY中さんまで一緒に帰るんだ!? ヤツらは絶対この近辺にいるはずだ!」
S.シンジの携帯電話に電話するDr.ミズノ。
プルルルルルルルルルルルッ(←呼び出し音)
ガチャ(←ヤツが出た)
S.シンジと思われる声「あーあーあー(笑)」
ガチャ(←切られた)
Dr.ミズノ「ああ?あの野郎切りやがった」
リダイヤル。
"……お掛けになった番号は電源が入っていないか、電波が届かないところにいるため繋がりません"
Dr.ミズノ「電源切りやがった……っ!!!」
Y中さんの携帯電話に電話をかけるも同様に繋がらず。
Dr.ミズノ「山手線で帰るヤツらが電波の届かないところにいるわけないじゃん。ふざけるなーーーっ!!」
Dr.ミズノがここまで悔しがる姿を見るのは初めてだった。 と、いうか。
S.シンジ「Y中さん。ストリップつまらないですよ。風俗行きましょうよー。良い店知ってるんですよ」
Y中「行っちゃいますか」
S.シンジ「中の2人はどうします?」
Y中「放っとこうよ。大丈夫、大丈夫(笑)」
S.シンジ「そうですよね(笑)」
このような会話があったことは容易に想像できるのですが。
そもそもショーを見に行きたいと言い出したのはS.シンジ。その言い出した張本人がつまらないことを理由に勝手に姿をくらませるのか? 別に2人でどこか(風俗?)に遊びに行くのは構わない。勝手に行ってくれと思う。 しかし我々にどうして嘘をつくのか。
新年早々、裏切られたというか状況を把握したときのこの脱力感。
正直、2人には失望した。
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