公安委員会から免許更新のお知らせが届いたのは1ヶ月ほど前。
別に気にも留めていなかったのですが、何気なくハガキを見て驚いた。
違反者講習だと?ふざけるな違反なんてしてねぇ!
人を犯罪者扱いする公安に怒り狂い、抗議の電話でもしてやろうかと思ったその時。数年前に前科を喰らったスピード違反を思い出した。判決、罰金7万円。
(あの禊はまだ済んでいなかったっけ……)
過ぎたことをネチネチほじくり返すなど全く女々しい連中ではある。
前回更新時に親から「地元の警察署で更新すれば1日で終わる」と聞いて、喜び勇んで地元の警察署に行ったら講習は後日(しかも平日)であることを言い渡されて凹んだことを思い出した。
1日で終わるのは優良運転者だけじゃないか。だ ま さ れ た。
そこで今回は確実に1日で終わる、運転試験場へ行こうと思い立った。
午前中の講習に間に合うよう朝早く自宅を出発。炎天下の中、二俣川駅から歩くこと十数分。
運転試験場が見えてきた。
まずは申請書の作成。
コピー機の前に係員がいて申請用紙を作ってくれる。ここは楽勝。
必要事項(名前と住所と生年月日ぐらいだが)を記入して適性試験(視力検査)を待つ列に並ぶ。
実はここが一番の難関。
難関適性検査
大きな声では言えないが、私は目が悪い。
数年前に眼鏡を作りに行ったときは店員に「まさか裸眼では運転されていませんよね」と念を押され、3年間の更新では視力がかなり怪しい(両眼でかろうじて規定の0.7ある)状況で「いやぁ~前回は大丈夫だったんですよねぇ。はははは」と強引に押し切った。
ゆえに未だに眼鏡条件はついていない。
ところがだ。
今回は事前に視力トレーニング(※1)を怠っていたのだ。
(※1)視力トレーニング……遠くの緑を見るというあれ。効果あるのか?
適性検査の部屋は4箇所ぐらいあった。
そのうち一番人が少ないところの列に並んだ。人が少ない→それは、すぐに検査が終わる→つまり、基準が緩い。という三段論法理由による。
順番が回ってきた。検査担当者はおばはん女性職員だった。
これはうまくいきそうだ。密かにほくそ笑んだ。
「では左目から……、これは?」
左は比較的よく見える。0.8ぐらいはあるかもしれない。すいすいと検査は進む。
「じゃぁ、次は右目。これは?」
「…………………………。」
ぼんやりした影しか判らないのですが……。
下……かな?
「じゃぁこれは?」
上すら見えないのに、下を差されても判るはずないでしょう。
「右」
「……違うけど」
「判りません」
「……これは?」とおばはん職員は、事もあろうに一番上を差しやがった。ばかにするな!それぐらい見え……ませんが、何か?
薄ぼんやりした黒い輪の一部の色が薄くなっていることが判る程度。
「下」
これは当たった。
強制的に左目に戻された。こちらは自信満々に答える。
ところが右目に変えた途端もうしどろもどろ。影しか見えぬ。
「右目が悪いんですね……」
そう言って職員は私の免許証の条件欄を見はじめた。当然、免許条件など書いていない。ここからが交渉だ。
「前回はこれで大丈夫だったんですがね」
「……でもねぇ」
前例作戦はあっさり失敗。
少しばかり押し問答を繰り返したが、どうにも首を縦に振ってくれない。
「どちらでも良いのですが、(条件を付けるか、付けないか)どうします?」
「もちろん条件はつけな……」
「あなたのためなんですよ」
なんだよ初めから結論ありきかよ。融通きかねぇな。
しかも「あなたのため」って本当に「あなた(=私のこと)のため」だったら、眼鏡する/しないの選択肢のある方が良いに決まってるではないか。
そんな偽善に騙されるか。この国家の犬がっ!
……しかし、もはや敗北は決定的だった。
眼鏡をして適性検査を受けさせられ、条件欄に「眼鏡等(小特車及び原付車を除く)」を書かれてしまった。原付での眼鏡条件は勘弁してもらったが、原付なんて乗らねーYO!!
(つづく)
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