何年か前に発生した事件か事故をきっかけに急速にクローズアップされた「開かずの踏切」問題。
確か時の大臣か首相が出てきて「開かずの踏切を解消せよ」と異例の指示を出していたように記憶(※1)しています。
(※1)記憶……事件が過ぎ去れば記憶も薄れ、やがて忘れてしまう。よくないことです。
その頃は「自分には関係ない」と大して気にも留めていませんでしたが、まさか体験することになってしまうとは……。
お客さまとの打ち合わせが終わった帰り道。夜20時頃、代々木駅踏切。
踏切の前では何やら群衆が蠢いていた。
遮断機が上がるのを待っているタクシーや車の列。そして人、人、人。
通行量が多いのか、開かずの踏切なのか……事情はわかりませんが、さっきから遮断機がずっと下りている様子。
踏切は左(渋谷方向)からの電車の通過を示していました。
不思議なことに踏切は電車の通過を示すも、その方向から来る電車は遅いものでした。
3分以上警報が鳴りっ放しで、ようやく電車が通過する……そんなペース。
そして電車が通過したかと思いきや遮断機が上がることはなく、再び左方向から電車が来ることを示しているのでした。
fig.踏切前で立ち往生する群衆
遮断機が待つこと10分……。
未だ遮断機は下りたまま。
ここはどうやら開かずの踏切のようです。
ふと道端に目を向けると「開かずの踏切はもうイヤ!埼京線は高架化を!」というような看板があった。
ところがこの踏切を利用する人たちは慣れている様子。
電車が来ないのを見計らって、次々と遮断機をくぐり抜けて反対側へ渡っていきます。まるで38度線を越える脱北者。
……なんてリスキーな。
たかだか10分ケチったばかりに電車にはねられる可能性だってあるわけです。
よく毎日この踏切から死人が出ないものだと半ば感心すると同時に呆れた。
恐らくこういうリスキーなことをする冒険野郎マクガイバーたちが、
「長生きのため」と称してサプリメントを飲みまくったり、ジムに通ったりしているのかと想像すると笑いが込み上げてきます。
さらに10分経過。
いい加減腹が立ってきた。
いったい私はこの踏切で待っている間に何本の山手線が高架を通り過ぎるのを見送ったことか。
この間にも脱北者はますます増加。
挙げ句の果てには、通りすがりの外人が遮断機を持ち上げて脱北の手助けをする始末。なんなんだ、この外人は。
そして一番悲惨なのはタクシーに乗っている客か。踏切を待っている間にも料金は増加の一途を辿っているわけで……しかし後ろにも車がギッシリ詰まっているため、今さら引き返すこともできません。
さらに10分……以下略。
おいおいおい、ふ ざ け る な よ。
同じ場所に30分も立ち往生を喰らって怒りゲージが増加すると同時に、この結末を知りたい気持ちもあった(←ヒマヒマ星人)。
今が夜だから怒りゲージもだいぶ余裕があったが、これが灼熱の昼間だったらすぐにぶち切れていたことは想像に難くない。
しかしいったいいつになったら警報が鳴りやみ遮断機が上がるのだろう……。
遮断機が上がった瞬間、心が晴れ渡る気分になるに違いない。そして小躍りするように踏切を渡るのだ。
…………………。
その結末は突如訪れた。
なぜか踏切に駅員と警察が数人集まってきた。
駅員は線路の真ん中で携帯電話でどこかと連絡を取り合っていた。
fig.なぜか駅員と警察が集まる
そして警察立ち会いの下、
「いまなら電車は来ませんから!渡ってくださーい」
なんだよ、踏切の故障かよ。
……うすうすは気付いていましたがね。
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