先週末にアニメ映画を立て続けに2本観てきた。一つはこの夏の話題作「ゲド戦記」。もう一つはネットで高評価を博している「時をかける少女」
今回はゲド戦記の感想。ちなみにネタバレはありません。
「ゲド戦記」は言わずとしてたスタジオジブリ作品。日本テレビ、電通、博報堂、東宝・・・などなどの大企業が提携し、 連日のテレビCM攻勢で普段をテレビを観ている人なら知らない人はいないだろう。また、あの宮崎駿監督の息子の初監督作品ということで話題にもなった。
一方の「時をかける少女」は筒井康隆の同名小説をアニメ化した作品。しかしプロモーションはほとんど行われず上映劇場を捜すのが難しいほど。監督は細田守というアニメ界ではその名を知られたベテラン。 あの「ハウルの動く城」も最初は細田守が監督となって製作される予定だったらしい。恥ずかしながら自分もネットでのユーザ評価を見なければ、この作品の存在自体知らなかった。
このような対極的な位置にある映画なのだが、Yahoo!ムービーでの評価はまさに真っ二つ。「ゲド戦記」がボロクソに酷評されている(Yahoo!ムービー)のに対して、 「時をかける少女」は大絶賛(Yahoo!ムービー)されている。
作品の評価は個人的な主観によってたぶんに左右されるため、やはり一度は地雷を踏みに行かないと自分の目で観に行かないと思い、
まずは土曜日のレイトショーで「ゲド戦記」を鑑賞。
やはり新人監督の第一作とは言え、ネットでいくら酷評されていようが、映画の冒頭で青い背景にトトロの絵とスタジオジブリの文字が出てれば、期待は否応なしに高まる。 ファンはスタジオジブリ作品として期待しているのだから。
残念ながら映画を見終わった後の最初の感想は( ´_ゝ`)フーンという感じ。手っ取り早い話が作品を見終わった後に伝わってくるものが何もなかった。
これは監督の力量とは全く関係がないのだが、声優をやっている俳優が全体的に下手。下手な学芸会の棒読みセリフを聞きに金払って来ているんじゃないと言いたい。 いったいアニメ映画はいつからプロの声優を使わなくなったのだろう。話題作りのためなのだろうが、俳優は始めは脇役程度に留めておいて実力を見極めてから主役に抜擢するなりして欲しいものだ。
特にヒロイン役が酷い。劇中「いのちを粗末にするヤツは大っキライだ」(←CMでも流れてた)を聞いたときには、思わず座席からずり落ちそうになった。 下手な声優に引っ張られたせいかどうか判らないが「千と千尋の神隠し」で釜爺役がハマっていた菅原文太や「もののけ姫」でエボシ御前役が似合っていた田中裕子もイマイチ。テナー役の人はボロボロ。
そもそも作品の構成自体なってない。出だしは壮大な世界観を期待させておきながら結局は内輪もめに終始してしまっている作品の流れ。 前半はそれぞれの話のワンシーンをぶった切ってとりあえず繋げましたという感じで話がなめらかに展開していかない。なので見ていて非常にもどかしい。
そして冒頭のシーンのせいで最後まで主人公に感情移入できないせいで、ラストで主人公が命の大切さを訴えるのだが「お前に言われてもなぁ……」と思いっきり白けてしまった。
また作品が伝えたいテーマ(おそらく命の大切さ)を作中の人物にベラベラ全て喋らせてしまうのも最悪。良い作品ならばテーマを直接喋らなくても、映画を見終われば観客の心に確実に届いている。 だから良い映画はスタッフロールを見ながら、劇中のシーンを一つ一つ思い出し余韻にひたることが出来る。最初に"見終わった後に何も伝わってくるものがない"と書いたのはそう言うことだ。
随分酷評が続いてしまったが良い所もある。まず原画や動画はさすがはスタジオジブリと思わせるような良質な出来。そして劇中流れる"テルーの唄"が歌声、曲、歌詞すべてにおいて素晴らしい。 歌のシーンが長いということを差し引いても、この歌を聴きに行くだけの価値はある。
"テルーの唄"を誰が作曲しているのかと調べてみたら、NHK「みんなのうた」で「まっくらもりのうた」や「恋するニワトリ」などの名曲を作曲した谷山浩子ということを知って納得。 さらに歌詞は監督自身が書いたことも知ってもた驚いた。この監督才能はあると思うので、もう少し親父の元で修行を積めばきっと良いアニメが撮れそうな気がする。
ただ一つ思うのは、もしゲド戦記がスタジオジブリ作品でなかったら……マスメディアがここまで大々的にヨイショの宣伝しなければ……これほどの酷評はなかったのではないか。 現在インターネットで渦巻いている酷評の嵐の原因の一つに、マスメディアによる商業的宣伝への反発が含まれているはずだ。
だからこういう記事を読むと気のせいだろうか。痛々しさを感じてしまう。
「ゲド戦記」公開2日で興収9億円!動員67万人超!
スタジオジブリの最新作アニメ映画で、7月29日に公開された「ゲド戦記」(宮崎吾朗監督)の2日間の成績が、全国435スクリーンで67万2696人を動員、興行収入が9億533万5600円であることが31日、発表された。
同じジブリ作品で、興収304億円の「千と千尋の神隠し」との比較で86・1%を記録し、興収100億円突破が確実視される滑り出しとなった。10日には韓国での公開が控えており、今後北米や欧州主要国など約50か国での世界公開も決定。30日から開催されるベネチア国際映画祭でも特別招待作品として上映される。
(スポーツ報知) - 8月1日8時0分更新
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