かつて地中海にあったとされ、魔法により大いなる繁栄を築いた伝説の古代王国「アフィリア王国」。
その王国の東側に位置するのが「王立アフィリア魔法学院」
その魔法学院の中にあるカフェテリアがなぜか池袋にあるという。
な、なんだってーーーーっ!!
大学時代の友人から「(私の)試験も一段落したことだし、そろそろみんなで会いましょう」と誘われ、 連れて行かれたのが、この「王立アフィリア魔法学院」 早い話がメイドが給仕してくれる飲食店。
……というわけで、今回の旅は久々の海外(笑)です。
しかしただの飲食店と侮る事なかれ。そこは近年稀に見るコンセプトが満載の新しいタイプの飲食店。
前日におおたさんに「集合場所は17時30分に池袋のロッテリアで」という判ったような判らんような情報を元に大粒の雨が降りしきる中、 池袋東口の西武百貨店前にあるロッテリアに行ってみれば誰一人来やしねぇ(´・ω・`)
連絡をとってみれば、ロッテリアはロッテリアでもサンシャイン通りすぐ側にある方のロッテリアだという。 「そんなこと知るかっ!」と半ばキレ気味になりながらも、サンシャイン通り目指して雨の中を歩き始めた………が、当方なにぶん辺境在住のためサンシャイン通りの場所がわかりません。 正確にはサンシャイン通りには数回来たことがあるので、場所わかっているはずなのですが……街には夜の帳が下り、降りしきる雨と人混み。上昇する不快指数も混乱に輪をかけ、早い話が完全に道に迷いました。
まさか池袋駅前で道に迷うとはね。
電話で助けを求め、現在位置を伝えると「(サンシャイン通りの)説明のしようがない。近くにいる人に道を聞け」と、つれない返事。 サンシャイン通りが駅のすぐ側にあることは知っている。そして自分は駅前にいる。この状況下で人に道を聞くことは、公衆トイレの目の前で人に「トイレはどこですか?」と聞くようなものではないか。 「そんなこと恥ずかしくて、できるかっ!」
電話口の後ろの方で今回のメンバである、おおたさんとDr.ミズノが恐らくこの場所について電話で相手しているY地君にあーだ、こーだと何か喋っているのが聞こえます。 そして時折、笑い声が電話口を通して聞こえたので私は怒り心頭。実際何のことで笑っていたのか知りませんが、その時は自分が迷子になっていることで笑われているように感じたのです。
「もう案内は結構。今日は帰ります」
このセリフが本当に喉元のすぐそこまで出掛かっていました。 しかし電話で相手してくれているY地君には関係ないこと。彼に対して怒りをぶつけるのは筋違いだろうと考え直した。 ただ電話口で聞こえる私の声は相当ぶっきらぼうで不機嫌だったに違いありません。Y地君には悪いことをしました。
再び夜の雨の中を人混みを避けながら歩くと、なんとなくサンシャイン通りっぽい所に来たように感じました。 果たして周囲を見回すと巨大なロッテリアの看板が……どうやら無事にたどりついたようでした。 と、いうか「池袋のロッテリアで」という情報だけで、なぜ自分以外のメンバが迷うことなくサンシャイン通りのロッテリアに集まったことが不思議でなりません。
それはさておき。目的の"アフィリア魔法学院"は、そのロッテリアからほど近い場所にありました。 店に入るまで「(普通の)飲食店で夕食を食べる」と思い込んでいたので、エレベータのドアが開いた瞬間ビックリ仰天。
床から天井まで壁一面に古書(と思ったら古書の写真)が並んでいるではありませんか。 そして何やら、えらいミニスカートのメイド衣装を着た店員が我々の姿を見るなり、
「いらっしゃいませ。センパイ」
ああ、なるほど。そういう店なのね。ここで初めて今回の旅の目的を知りました。
店内の雰囲気は「魔法学校のカフェテリア」がコンセプト。早い話が映画「ハリーポッター」シリーズの雰囲気そのままを持ってきた感じです。 良くできています。その中を(しつこいようですが)えらいミニスカートのメイド衣装を着た店員が注文を取ったり、給仕をしてくれます。 なんでも店員は"学院の後輩"で客である"学院の先輩"にお世話をするというコンセプトらしいのです。
……だから呼称はセンパイ(先輩)
テーブルに着席した我々は、学院の後輩(=店員)から店のシステムについて懇切丁寧に説明を受けました。 まずは後輩がセンパイの名前を呼ぶため、よく判らない会員カードを作らされました。伝えるのは"呼んで欲しい名前"だけ。
早い話が店……じゃなかった「学院」に足繁く通うとポイントが貯まり、カードのランクが上がるというシステム。 カードのランク上昇に伴い、カードの色も変わっていき待遇も良くなっていくというシロモノのようです。 つまり、この学院内での地位はこのカードの色が全て。好待遇を希望するならお金を湯水の如く使いなさいってこった。
……そういえば昔こんな感じのネズミ講ビジネスがあったような。
それから後輩に渡されたのがこのコイン。「アフィリアズコイン」と呼ぶらしいです。
このコインは後輩に手渡したり(チップ代わり?)、4枚貯めて後輩とツーショット写真を撮影したり、 5枚で後輩の手作り料理を食べることが出来たり……使い道は様々。
他にもコイン3枚で後輩が"魔法"を披露してくれるらしいです。是非スカートがめくれる魔法でも披露してくれ。
……このコイン。ゲームセンターで使えるんじゃね?
以上のような説明を長々と後輩から受けました。最後に「センパイ方。何か質問はございますか?」と後輩。 そこでDr.ミズノが挙手。
Dr.ミズノ「あのスクリーンに映っている映像はイタリアですよね?」
実は店内の一角にスクリーンが設置してあり、そこには「アフィリア王国」をイメージさせるような、のどかな丘陵や古城の映像が流れていました。 言うなれば店の演出というヤツです。その演出用の映像をDr.ミズノが「あれはイタリアの映像に間違いない」と意地悪く突っ込んだのです。
「いいえ!あれは窓から見えるアフィリア王国の風景なんです!」と後輩はふくれっ面で抗議していましたが、 Dr.ミズノはなおも「あれはイタリアのナントカ城ですよね………つい、この間までイタリアにいましたから」と追求の手を緩めません。 思わぬ質問に後輩も困り果てている様子でした。ウチらはなんとも嫌な客です。Dr.ミズノ、グッジョブ!!
いよいよ料理の注文です。我々はここに夕食を食べに来たのですから。 ところがメニューを見てあまりの懲りように脱帽。メニューを見ても料理の内容が想像できません。
「チキン・ド・ライス」なんてまだ良い方。「デミラブ・ステュー」とか「マリオパワーズ」なんて書かれた日には何が出てくるのか想像すらつきません。 なんだかパルプンテ唱えているような気がしてきました。公式サイトによれば、
デミラブ・ステュー
ブイヨンで徹底的に煮込まれた沢山のブリーリア野菜に、学院吟醸の極上デミグラスをかけ合わせた煮込みシチューです。
王立アフィリア魔法学院 THE GRAND MENUより
マリオパワーズ
ウォーンブリアの農家からはるばるやってきた極上のきのこから丁寧につくられた、ジャポネスク風味のパスタ。名前の由来は謎。
王立アフィリア魔法学院 THE GRAND MENUより
ということらしいです。"アフィリア王国"の演出は徹底しています。徹底しすぎてもう訳がわかりません。 ちなみに飲み物は飲み放題です。まぁ、この飲み物のメニューも何が出てくるのか判らない名前ばかりなのですが。
お店は非常に繁盛している様子でした。またこういうお店の性格から客層は某所で見かけるような肥満体の大きいお兄さんばかりかと思われましたが、 若い女性連れやお洒落な男性が多いのが印象的でした。やはり池袋という場所だからこそなのでしょうか。 そういう訳で、お店が非常に繁盛しているためか基本は1時間制です。1時間以上は延長料金を支払わなければならないようです。 我々が行った日は特に繁盛していた様子で強制的に1時間で追い出されました。
いよいよ王国を離れる時がやってきました。お会計は日本円が通じます。当たり前ですが。 しかし日本円が通じる割にはクレジットカードは使えません。海外でもクレジットカードが使えるこのご時世に。さすがは魔法王国です。
後輩「センパイのお会計は3,200円になります」
……………………はい?
おい、ちょっと待て。どこの世界にパスタ(1,000円)と飲み物2杯で3,200円(※1)かかる店があるのか。 それとも何か?アフィリア王国はインフレか?
(※1)3,200円……アルコール飲み放題にしていたならば、さらにプラス1,000円。
この値段は正直いかがなものか。店員が前屈みになってサービスしてくれるとか床が全面鏡張りとかなら、この値段でもわからないでもありませんが。 それでは別の店か。
こうして自分は身ぐるみ剥がされて追放された気分で王国を後にしたのでした。
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