退職前日。とても翌日に退職するという実感が沸いてこない。
午前中。いつもの日常、いつもの風景。相変わらず社内掲示版に情報が上がらず、別に公式発表がなくても翌日には会社を去るだけなのだが。
仕事の上では特にすることはなかった。退職後に苦労をかけることになる後輩にプログラムの説明など、多少は引き継ぎっぽいことをやってみる。
それからハードディスクのデータを消しまくるw
フォーマットすればいいじゃんと思われるかもしれないが、開発環境や設定などを残さなければならないため、フォーマットするわけにはいかない。 しかし6年半に渡るあんなデータやこんな人様には見せられないファイルが………!!というわけで、翌日の暇つぶし用にブラウザに登録してあるブックマーク以外の個人情報を必死になって消しまくった。
午後。人事のO村部長に会議室に呼ばれる。
退職が決まっているので、これ以上の引き留めはなかった(←当たり前)
会議室の椅子に座るなり、O村部長が私が提出した退職願を取り出した。
「まずこれなんだけど………これでは退職できないよ」
「………はい?」
突然に何を言い出すんだこの人は。インターネットで調べた退職願フォーマットに不備があろうはずがない。
「退職日が平成19年の11月30日になっている。これだと1年後だ」
「今年って平成19年では…………ないですよね」
返された退職願には確かに"平成19年"となっていた(→「【退職への道11】辞表」の写真参照)
(あちゃー………)
思い起こせば7年前。このO村部長から入社試験日の時間を聞き間違えて(←自分は今でも部長が言い間違えたのだと思っている)、その後の部長との面接で一悶着あったことを思い出した。 結局この会社での6年半はミスに始まって、ミスに終わるのか。そう思うとますます落胆した。
それからは退職までの事務手続きの説明を受けた。 一度退職が決まってしまえば、事務手続きなんて簡単なものだ。退職金の支払い願いと振り込み先を指定する書類、税務署提出する退職所得の申告書、 こんな紙切れを2枚書くだけ。
……ずいぶんと呆気ないものだ。
また、会社には次のものを返却するよう求められた。
- 会社の鍵
- 名刺
- 健康保険証
- 定期券
名刺が会社からの借り物だったという事実に驚いた。もっとも6年半で客先に出向くことは少なかったために、一度も使い切ることはなかったが。
12月の給料は日割り計算(10日分)で12月末に振り込まれるがその中から税金が引かれるので、ほとんど手元には残らないこと。退職金がいくらか支払われることなどを説明された。
それからO村部長としばしの雑談。O村部長も転職して弊社に来たことを話してくれた。なんでも前の会社でしゃちょーと一緒で強引に引っ張って来られたらしい(……なんか似てるな)。 今回の自分と境遇が似ているせいか、いろいろ励ましてくれたのは嬉しかった。
人事部長との面接が終わり自分の机に戻ってから暫くすると、社内掲示板で公式発表がされた。
自分の名前が書かれていると恥ずかしいものがあります。この掲示をあげるためにこれまで散々苦労してきた。そしてようやく上がりました。
終業後に昔いた部署に行き、M山さんたちと少し立ち話。「……ついに(掲示が)上がったね」と言われ、寂しそうに「……もったいないなぁ」と何度も繰り返していたのが印象に残った。 いったい何が"もったいない"のか、真意を理解できなかった。きっとこの答えは後になってから出るのだろう。
こうして前日は瞬く間に過ぎていき、滑り込みながらも退職に向けての準備は全て整った。
そして明日。ついに最終日。
……相変わらず退職するという実感が沸かないのですが。
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