おことわり:
この記事は東京都教員採用2次試験の合格発表前に書いていたものです。不合格だったら破棄しようと考えていたのですが、みなさんのお力添えもあってなんとか名簿登載されることができました。
来年以降チャレンジしてみようかとお考えで、この記事を偶然に見つけられた方がおりましたら参考にして頂ければ幸いです。
三重県の1次試験を受験しに行ったときもそうでしたが、いつになく蒸し暑い。
13時集合。場所、神代高等学校。
13時に間に合わせるために、家を10時30分過ぎに出なければいけないところが辛い。
電車を乗り継ぎ、乗り継ぎ、試験会場へ。
例年、道に迷うのがお約束なところですが、今年は日本中で話題沸騰のGoogleストリートビューでバッチリ予習済み(※1)。ありがとう、ストリートビュー。
(※1)予習済み……駅から一本道なので迷いようもなかったのですが。
会場には、ほぼ予定通りの時間に到着。
受験生控え室という名の会議室に通されました。
長机が向かい合わせにセットしてあり、例年とは異なる座り方に戸惑いました。
理科(しかも物理)志望の受験生。当然、ほとんどが野郎(しかもオッサン)ばかり。
13時に係員が試験についての説明を開始。
待機と説明が終了した14時。受験生全員が一斉に集団討論会場に誘導されました。
例年、個人面接組と集団討論組に半分ずつに分けられ、集団討論組も時間差で呼ばれたりしていました。そのため、少しの空き時間を利用してグループのメンバー同士で簡単に事前交流を深め、集団討論に望むというのが自分の中でのセオリーでした。
しかし今年は説明が終わり、全員が集団討論。
メンバー同士で自己紹介している暇もありませんでした。まさに完全初対面。
集団討論(約45分)
集団討論の流れは、ほぼ例年通り。
- 問題把握、解答記入(5分)
- 自分の意見を発表(1人1分。x5人)
- 討論(20分)
- 質疑応答(約15分)
昨年(→決戦は土曜日参照)は大失敗を喫してしまい、大学時代の同期であり人生勝ち組まっしぐらの おおたさんからは「突っ込みどころ満載」とまで言われ、打ちひしがれていました。
今年は必勝を期していました。
しかしメンバーによってはどう転がるかわからない集団討論。その中でどうやったら上手く行くのか。
ずっと秘策を考え続けてきました。
さて、今年のお題は……
子供たちに、地域を愛する気持ちを育てるために、学校でどのような取り組みが必要だと思いますか。必要だと思う順番に三つ挙げなさい。
問題用紙は回収されてしまった(今年から公開されるようになりました。東京都教育委員会 集団面接課題(PDF))ので、自分で何を書いたのかうろ覚えなのですが、
- 地域の施設に見学に行くなどして、地域のことを知る。
- 地域の人に授業をしてもらい、地域のことを教えて貰う。
- 普段の授業で地域のことを取り上げる。
この3つを書いたような気がします。
残り1分を知らせるベルが鳴ってから回答を書き始めたものの、間に合わずに3番目の回答が超適当な文章になってしまったことが悔やまれます。
この回答内容って採点の対象に入るんでしたっけ……。
1人ずつ回答を発表。
重要度の順番や多少の差異はあったものの、ほとんどが似た内容でした。
さて、秘策の話。
昨年、おおたさんから一冊の本を紹介されていました。
「ファシリテーション (ライトワークスビジネスベーシックシリーズ)」。会議を円滑に進めるためのノウハウについて書かれた本です。
会議中に演説が始まったらどうするのか、メンバーの一人が相手を非難し出したときの対処法は、会議を紛糾させないには……などなど。
ファシリテーションの一つに「会議のゴール(目標)を設定する」というのがありました。
最初にメンバー全員に会議のゴール(目標)の共通認識を持たせることで、ゴール(目標)に向かってスムーズに会議を進められる……という言うもの。
"これは使える"と思った。
これならば、どんなお題であろうとも最初に自分が口火が切れる。しかも「みなさんの意見をまとめますと~」などという集団討論をやると1人はいそうな、発言が長い割には何の実りのないファ○キンな総括屋のような下策を犯すこともない。さらにはグループとしてもまとまりが出ようというものです。
……自然と私を中心に議論が進んでいくようになりました。
途中、議論の方向が「清掃美化が有効なんじゃね?」という流れに……。
それに対してみんなが「同意」「激しく同意」(意訳)など言い出す中で、「そんなわけねーだろ」と自分一人が考えていた。
思い出せ。
中学、高校のときに校外の掃除なんて、ただの労役だと思っていなかったか?
掃除やって地元が好きになったか?
まだ5分しか経っていなかったので、「環境美化ももっともなことだと思いますが、地域の歴史や文化こついてはどうですか?」と全く違う意見も提案しておきました。
自分はむしろこっちの方が有効だと考えていたし。
残り5分になったところで「そろそろ時間がないので、意見をまとめたいのですが」と提案し、みんなの協力を得てなんとか意見を一つにまとめることに成功。
自己評価で見てみると集団討論は大成功の部類に入ったのではないかと思います。
言ってしまえば過去最高の出来。メンバーに恵まれたのが最大の要因かもしれません。
もっとも自分で勝手にそう思っているだけで、面接官の観点は違うかもしれませんが。
その後の面接官からの質疑応答
- 今回の討論で気をつけたことは何か
- 次も同じメンバーで同じ議題で討論できるとしたら、どうすればもっと良くなるか
順番待ち(約2時間)
控え室に戻り、面接の順番が来るまで待機です。
面接は集団討論で"Aさん"と呼ばれていた人から始まり(※2)ます。
(※2)人から始まり……Aさんは集団討論後に休みなしで個人面接に突入する。
自分は集団討論ではDさんだったので4番目ということになります。
どのグループも集団討論で多少なりとも会話しているので、幾分打ち解けているようでした。あちらこちらで話し声が聞こえます。
自分たちのグループも互いに討論の健闘を称え合い、関心は個人面接の内容へ。
どうやら自分以外の人は採用試験初挑戦(※3)の模様。
(※3)採用試験初挑戦……去年もそうでした。結構不合格になっているはずなのに、去年不合格だった人はいったいどこへ?
「個人面接は何を聞かれるんですか?」と聞かれたので、去年の流れを話しました。
今さら場面指導があることを知らされても、もはや手遅れ。準備していないと相当キツイです。
するとEさん。
「マジやばいっすよ。1次試験も論文適当に書いたら合格してたので何も準備していないんですよ。単元指導案も何?って感じで。本当は2次試験サボろうと思ったんですけど、さすがにヤバいかなと思ってとりあえず来てみたのですが」
個人面接を前にして何を牽制しているのかと思いきや、係員に隠れてコソコソと「PC FAN(※4)」を読み出したのには笑った。
(※4)PC FAN……パソコンの雑誌。
ここ2週間で作った面接ノートを読み返しながらEさんと話してみると、なんとも面白い男だった。
昔何年か臨時教員をやったことがあり、現在は下水道関係の会社勤務。
東京都の下水道はローテクだ。という話から始まり、この間の大雨で下水道にいた作業員が増水で流され亡くなった事件について「タイミングが違ったら自分だったかも」と語る。
さらには「合コンで仕事の話をすると(話題が下水なので)女の子がみんなドン引きしてしまい、全然モテない」と嘆く。
あいにく自分は下水関係の知識には疎いので、彼の話はとても新鮮で大いにためになった。彼は誰も知らない下水の知識を布教したいと熱心に語っていた。
個人面接(約35分)
いよいよ自分の順番になり、係員に誘導されて会場に向かいました。
例年は吐きそうなほど緊張するのですが、今年は不思議と落ち着いていました。
緊張は3日間も続かない、ということもあるでしょうし、今年は予備校のみんなと混じって練習や対策を繰り返してきたという自負があったからかもしれません。
「椅子に座るときは背筋をのばすこと」だけを忘れないようにしていました。
個人面接で聞かれたこと。
- 東京都の教員を志望した理由
- 1分間で自己PR
- 作成した単元指導計画の説明(2分程度)
- この単元指導計画を選んだ理由、ねらい、(もう一つは忘れた)
- 具体的にどこか1時間を選んで、どういう授業展開を行うのか説明(模擬授業ではない)
- 物理に興味が持てない子どもたちにどのように接するか。
- 教育実習で苦労したこと。
- 教育実習で授業関係で学んだこと。
- 社会人経験で学んだこと。その経験を教育にどう生かせるか。
- 会社で上司から学んだこと。
- ボランティア経験について。何を学んだか。学んだことを教育のどの部分に生かせるか。
- 面接表に書いてあること以外でのボランティア経験。何を学んだか。
- 保護者からウチの子がいじめを受けていると電話を受けた。どう対応するか?
- 集団討論は地域を愛するという内容だったが、行ったことのない知らない地域に赴任してどう地域を愛する教育を行うのか。
- あなたは集団討論で地域の歴史を教えると言ったが、自分の住んでいる地域の歴史をどのくらい知っているのか。
- パソコンに詳しいようだが、生徒たちに最初にパソコンの何を教えるのか?
- 4月1日まで何をして過ごすか?
- (職歴の一番下に書いた会社を指し)この会社は退職しているのか?
- 理科離れを防ぐには何が大切か?
思い出せば結構書き出せるものです。
これまで個人面接は自分の教育観や考え方を面接官に聞いて貰う場だと考えていました。要は就職活動の企業面接のように自分の理念や考えが、その企業が求める人物像と一致しているかどうか。
しかし今は違います。個人面接は口頭試問だと考えています。質問には必ず正解があり、それを答えられるかどうか……。だからこそ、この1年間"正解"を求めて教育関連の本を読みあさり、面接ノートを作成したのです。
答えに窮してしまう質問もありましたが、全体的に無難に答えられたように思います。毎年同じことを書いている気がしますが……。無難に答えられたはずなのに、なぜか連敗街道まっしぐら。
面接官との相性が悪いのか、やはりどこか間違っているのか……。理由はいまだ不明。
ただ例年、場面指導ではこちらの答えに対して「じゃ、この場合はどうですか?」「それでもダメだったらどうしますか?」などと追及の嵐が吹き荒れるのですが、今年はそれが全くありませんでした。
某巨大掲示板によれば、共感型面接 = 不合格確定 などといった根拠のない書き込みがなされていますが。根拠がなくても書かれると気になります。
こうして今年の試練の夏は終わりました。
毎年受験し、毎年落胆することを繰り返して早6年(ぐらい)。人間そんなに変わらないと考えていたが、過去の記録を振り返って明らかに変わったことが一つだけある。
それは合否について。
これまでは「もし不合格だったとしても代わりの優秀な人が教壇に立って、日本の教育が良くなってくれれば」ようなことを書き散らしていたが、そんなことは綺麗事だ。
今は違う。自分が教壇に立たずして、いったい誰が日本の教育を良くしようと言うのか。他の誰でもない。自分こそが相応しい。
図々しいとか、分不相応とお叱りを受けそうですが、今はそういう矜持です。
ファシリテーション (ライトワークスビジネスベーシックシリーズ) (ライトワークスビジネスベーシックシリーズ)
山崎 将志
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